まるで瞳のようなこの画像は、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したりゅうこつ座AG星
まるで瞳のようなこの画像は、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したりゅうこつ座AG星 / Credit:ESA/Hubble and NASA, A. Nota, C. Britt
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虚空に浮かぶ瞳のような「天の川銀河でもっとも明るい星」

2021.09.23 Thursday

A Closer Look at Hubble’s 31st Anniversary Snapshot https://esahubble.org/images/potw2137c/ Hubble Has Captured The Startling ‘Eye’ of a Massive Stellar Explosion https://www.sciencealert.com/hubble-s-spectacular-new-image-looks-like-an-eye-in-space

まるで宇宙に浮かぶ巨大な瞳のようなこの天体は、天の川銀河でもっとも明るい星の1つ、「りゅうこつ座AG星」です。

画像は2014年と2020年にハッブル宇宙望遠鏡が行った観測と、1994年に同望遠鏡が広域惑星カメラ2(WFPC2)で撮影した観測を合わせて生まれた新しい視点の映像だといいます。

ただ見るだけでも美しい天体写真ですが、ここに映っているものが何を意味しているのか、解説していきましょう。

ちなみにこの星は、ハッブル宇宙望遠鏡31周年記念の対象としても撮影されています。

2面性を持つ星「りゅうこつ座AG星」

「りゅうこつ座AG」は、天の川銀河でもっとも明るい星の1つと言われています。

地球からの距離は約2万光年で、地球から肉眼で観測することはできませんが、質量は太陽の約70倍明るさは太陽の100万倍を超えるとされています。

「りゅうこつ座AG星」は、このとてつもない明るさを数年単位で変動させる、「高光度青色変光星(LBV)」に分類されています。

LBVは非常に珍しい天体で近隣の宇宙で50未満しか見つかっていません。そして、その活動には極端な2面性があります。

変光星の内部では、自身の巨大な重力と内部で高エネルギーを生む核融合の圧力がせめぎ合って、星の崩壊を抑えている状態となっています。

星が自重で収縮すると、内部の圧力が高まって核融合が活発になり明るさが増します。

すると今度は核融合のエネルギーが重力に打ち勝って星が膨張していき、内部の圧力が下がって核融合が穏やかになり暗くなっていきます。

そしてまた重力の方が強くなり、再び星が収縮し始めるのです。

ミラの光度曲線
ミラの光度曲線 / Credit:国立科学博物館,恒星編明るさが変わる星があるって本当ですか?

通常の変光性はこれを数百日という期間で繰り返します。

しかし、LBVはもっと極端な活動の変化を数年の単位で繰り返します。

ほとんど静止したような状態で穏やかに数年を過ごしたかと思うと、数桁も増光して激しい爆発のような噴火を起こします。

このとき太陽の数百万倍という明るさを放つのです。

私たちの太陽は100億年ほどの寿命を持つとされていますが、LBVのような巨大な変光星は非常に短命で数百万年の寿命しか持ちません。

「りゅうこつ座AG星」の予想寿命は500万年から600万年ほどだろうと考えられています。

さて、そんなこの星の画像を見て、まず誰もが気になるのが、まるで瞳のように見える不思議な形状でしょう。

なぜ、この天体は瞳の中にある虹彩と瞳孔のような形になっているのでしょうか?

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