「素手」でカラスを捕えるネアンデルタール人の狩猟技術を再現!
「素手」でカラスを捕えるネアンデルタール人の狩猟技術を再現! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
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ネアンデルタール人の俊敏な鳥の狩猟方法 研究したら素手で十分だった (3/3)

2021.10.17 Sunday

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いつでも「ヤキトリ」が食べられるのになぜ絶滅したのか?

いつでも「ヤキトリ」が食べられるのになぜ絶滅したのか?
いつでも「ヤキトリ」が食べられるのになぜ絶滅したのか? / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

今回の研究により、ネアンデルタール人の技術水準でも、素手で大量のベニハシカラスを捕えられることが示されました。

実際に生きていたネアンデルタール人もまた、同様の素手や松明や網を用いた方法でベニハシカラスを捕えて食べていたと考えられます。

ですがそうなってくると、ネアンデルタール人が絶滅した理由がますますわからなくなってきます。

こんなに楽に高カロリーの「鳥肉」を得る方法がありながら、なぜ絶滅してしまったのでしょうか?

その原因は主に3つ考えられます。

1つ目は環境変化です。

数千年、数万年というスケールで地球の気候は大きく変化しています。

そのため気候条件によっては、ベニハシカラスの生息域が、ネアンデルタール人の生息域とズレてしまう可能性があるのです。

またベニハシカラスがねぐらにする洞窟の数も場所も限られており、容易に乱獲による獲り尽くしが起きてしまいます。

2つ目の原因は、人類の登場です。

ネアンデルタール人の絶滅した時期は、人類が進出した時期と被っているだけでなく、人類との接触後5000年という極めて短期間での絶滅が起きています

最新の「研究」によれば、当時、人類には三日月形石器を天然の接着剤で木の棒に固定した、弓を開発していることが示されていますが、ネアンデルタール人が弓を使っていた痕跡はみつかっていません。

そのため、生存競争が発生した場合、技術力で優れる人類は、ネアンデルタール人を駆逐してしまったと考えられます。

最後の3つ目は、同化です。

近年の研究により、非アフリカ系の人類には全て、ネアンデルタール人の遺伝子が含まれていることが知られています。

これは新しく進出してきた人類が、現地にいたネアンデルタール人との間に子供を残し、その子供が全ての非アフリカ系の人類の祖先になったことを示します。

アジア系、白人系の人類において、ネアンデルタール人の遺伝子を持たない人間は存在しません。

つまり、ややこじつければ、私たち自身がネアンデルタール人の直系子孫でもあるのです。

この観点からみれば、ネアンデルタール人は絶滅したのではなく、人類とのハイブリッド種に変化したと言えるでしょう。

近年、人類の遺伝子に含まれるネアンデルタール人の遺伝子の機能が着目されています。

今年の2月に発表された「研究」では、人類の中に散らばるネアンデルタール人の遺伝子を分析して拾い集め、人類の細胞から作られた人工培養脳(脳オルガノイド)に組み込む試みが行われ、非常に興味深い結果が得られました。

どうやら私たちに眠るネアンデルタール人の遺伝子は、私たちの脳の発達に影響を与えているようなのです。

ネアンデルタール人の遺伝子を組み込み「人工培養したミニ脳」が作られる 現代人よりシワが多く早熟型だった

※最後になりましたが、本研究によって捕えられたベニハシカラスは研究者によって全て解放されています

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