植物はRNAを「手紙」にして隣人と会話可能と判明!
植物はRNAを「手紙」にして隣人と会話可能と判明! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
plants

植物はRNAを「手紙」にして隣人と会話していると判明!

2021.10.26 Tuesday

Plants Use RNA to Talk to Neighbors https://www.the-scientist.com/news-opinion/plants-use-rna-to-talk-to-neighbors-69337
Exogenous miRNAs induce post-transcriptional gene silencing in plants https://www.nature.com/articles/s41477-021-01005-w

植物は情報をRNAに乗せてコミュニケーションしているようです。

イタリアのサンターナ大学院大学で行われた研究によれば、シロイヌナズナはRNAを分泌することで、隣のシロイヌナズナの遺伝子の働きかたを変えることができる、とのこと。

同種の植物同士がRNAを介して互いの生命活動に影響を与え合っていることが判明したのは、今回の研究が世界ではじめてになります。

植物が放出するRNAを解読できれば、植物の声をリアルタイムで聞き取る「植リンガル」とでも言うべきアプリ開発や開花時期の指示などが可能になるかもしれません。

研究内容の詳細は10月14日に『Nature Plants』にて公開されています。

植物はRNAを「手紙」にして隣人と会話していたと判明!

植物はRNAを「手紙」にして隣人と会話可能と判明!
植物はRNAを「手紙」にして隣人と会話可能と判明! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

近年の研究により、植物には思ったよりもコミュニケーション能力があることがわかってきました。

代表的な例では、キリンに食べられている「アカシア」の木があげられます。

アカシアの木はキリンに葉を食べられると、樹木からエチレンやサリチル酸メチルといった揮発性物質(ガス)を分泌して、近隣のアカシアの木に「食べられているから注意しろ」という情報を送ります

すると不思議なことに、ガスを感知した周囲のアカシアの木の葉は毒素である「苦味成分」を多く生産して、キリンの捕食に対抗します。

ですが今回、サンターナ大学院大学の研究者たちは、植物たちが遺伝情報の記録にも使われるRNAを用いて、ある種の会話を行っていることを突き止めました。

発見のキッカケは、いくつかの偉大な発見がそうであるように、偶然でした。

研究者たちは当初、開花を遅くする働きがある短いRNA(miR156)を製造する変異シロイヌナズナを水耕栽培で育てていました

短いRNAは長いmRNAに結合して利用不能にすることが知られており、遺伝子の働きの調整などに用いられています。

すると奇妙なことに、すぐ隣で育てていた全く別株の野生型のシロイヌナズナの開花までが、遅くなっていたのです。

不審に思った研究者が両方の植物たちの根が伸びている水槽の水を調べたところ、短いRNA(miR156)が含まれていることが判明

そこで研究者たちは変異シロイヌナズナから抽出した短いRNA(miR156)だけを野生型に加えてみると、同様に開花時期の遅延が起こりました。

短いmiRNAの伝達により植物の幼若期が長くなり、結果的に開花時期が大幅に遅れた
短いmiRNAの伝達により植物の幼若期が長くなり、結果的に開花時期が大幅に遅れた / Credit:Federico Betti et al .Exogenous miRNAs induce post-transcriptional gene silencing in plants . Nature Plants(2021)

さらに短いRNA(miR156)が遺伝子に与える影響を調べたところ、植物の成熟に必要な遺伝子(SPL9およびSPL9)の働きが大幅に抑えられていることが判明します。

また別の短いRNA(miR399)を加えたところ、栄養素(リン酸)の取り込み速度を低下させることにも成功しました。

この結果から研究者たちは、植物は水と根を介して短いRNAを使った情報伝達をしていると結論付けます。

RNAはガスと異なり、状況に応じて文字列を変更可能な「手紙」として使用可能です。

次ページ植物たちの生の声を聴くアプリや開花時期の調節ができるかもしれない

<

1

2

>

植物のニュースplants news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!