ヒクイドリ
ヒクイドリ / Credit:写真AC
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世界で最も危険な鳥「ヒクイドリ」の正体とは【飼い主も殺傷】 (2/2)

2022.10.14 Friday

2021.10.30 Saturday

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ヒクイドリの危険性

ヒクイドリのするどい爪
ヒクイドリのするどい爪 / Credit:Pixabay

森を守る重要な役割を担っているにも関わらず、人間の乱獲や交通事故などによって絶滅危惧種に指定されているヒクイドリ。

確かに危険な一面はありますが、ヒクイドリの個体数をこれ以上減らさないためにも、人間側がその危険性をしっかりと理解しておく必要があります。

ヒクイドリは基本的には好戦的な性格ではなく、何もしない相手にいきなり襲いかかってくるわけではありません。

前述の飼い主殺害事件も飼い主の転倒が原因だったとされていますし、過去にヒクイドリが16歳の少年を殺害した事件でも、少年が先にヒクイドリを攻撃したようです。

ただし、ヒクイドリのキックが非常に危険であることは忘れてはいけません。ヒクイドリの強い脚と鋭い爪によって繰り出される蹴りのキック力は120kg以上とされ、一撃で肉を引き裂き、致命傷となりえます。

また、人間のどのような動きがヒクイドリに「攻撃」とみなされるかは未知数です。縄張り意識の強いヒクイドリはそもそも人間が縄張りに入ってくることを嫌います。臆病なヒクイドリにとっては人間が急に近づくだけで反撃に値するかもしれないのです。

たとえ「エサをあげる」などの好意的な気持ちがあっても、人間が近づいてくることはヒクイドリにとって脅威です。なるべく近づきすぎず、万が一近寄ってしまったら急に動かずにゆっくりと距離を取るのがベストでしょう。

ヒクイドリは人類と暮らしていた可能性がある

ヒクイドリはかつて人間と暮らしていた可能性がある
ヒクイドリはかつて人間と暮らしていた可能性がある / Credit: 写真AC

ここで、2021年に発表されたヒクイドリに関するおもしろいニュースをご紹介しましょう。なんとヒクイドリが「人類が最初に家畜化した鳥類である」可能性があるというのです。

ある研究チームがパプアニューギニアの遺跡で見つかった約1万8000〜6000年前のヒクイドリの卵、計1000個以上の断片を調査した結果「大半の卵殻がヒナの孵化直前か直後に当たり、加熱の形跡もなかった」ことがわかりました。

もし、遺跡に住んでいた人々が食べ物として集めたものだったとしたら大半の卵は「孵化するずっと前の状態」であることが普通です。

また、食用としていたなら加熱する卵も混ざってくるでしょう。これらの卵の大半が加熱されておらず孵化直前か直後にあたる状態だったということは、人々がヒクイドリを飼育し、繁殖させていたという事実を示します。

例えば、ニワトリが家畜化されたのは8000年前からと言われていますので、もしこれが事実ならヒクイドリの飼育は鶏よりもはるかに歴史が古く、ヒクイドリは人類が始めて家畜化した鳥類と言うことになりえるのです。

世界一危険な鳥であるヒクイドリを人々が何故飼育していたのかは未だ謎に包まれていますが、太古にヒクイドリが人間と共生していたというのは興味深い話ですね。

鶏より以前に古代ニューギニアで「ヒクイドリ」が家畜にされていた可能性が浮上 

日本で見られるヒクイドリ

目をつむっているヒクイドリ
目をつむっているヒクイドリ / Credit: 写真AC

危険な一面もあるとはいえ、その恐竜のような風貌や独特の生態から、写真映えするとじわじわ人気が出てきているヒクイドリ。

日本でも以下の動物園で飼育されていて、実物を観察することが可能です。

・東武動物公園(埼玉県宮代町)
・福山市立動物園(広島市福山市)
・とべ動物園(愛媛県砥部町)
・福岡市動物園(福岡県福岡市)
・久留米市鳥類センター(福岡県久留米市)
・熊本市動植物園(熊本県熊本市)
・ネオパークオキナワ(沖縄県)

もともと暖かい地方に生き物であるせいか、九州以西の動物園が目立ちますね。
福山市立動物園や久留米市鳥類センターは公式Twitterでも度々ヒクイドリの情報を発信しており、現地に行かなくても鳴き声やエサなどを知ることができますよ。

まとめ

その脚力と鋭い爪から世界一危険な鳥としてギネス認定もされているヒクイドリ。

しかし実際は臆病で反撃してしまうだけで、決して好戦的な生き物ではありません。ヒクイドリは森を保持する役割を担ってきた自然界に欠かせない存在で、古くから人と共生していた可能性も報告されています。

恐竜のような見た目で唯一無二の魅力を持つヒクイドリは日本の動物園でも飼育されていますので、気になった方はぜひその轟くような鳴き声や力強さを生で見に行ってみてはいかがでしょうか。

【編集注 2021.11.30 13:40】
記事内容に一部誤りがあったため、修正して再送しております。

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