ファストフードの80%に「ゴム手袋に使われる化合物」が混入していると判明
「フタル酸エステル」は何が危険なのか?
フタル酸エステルは、プラスチックなどを柔軟にするための可塑剤として知られます。
身の周りでは、ビニール製の床材やゴム手袋、食品パッケージ、プラスチック製のおもちゃ、接着剤、石鹸や洗剤、ヘアスプレーといった、あらゆる製品に使用されています。
そのため、ほとんどの人がフタル酸エステルに晒されており、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の調査では、大半のアメリカ人の尿から、何種類ものフタル酸エステルの代謝物が検出されていることが分かっています。
フタル酸エステルを含む製品に接触した食品や飲料を摂取したり、空気中のフタル酸エステル粒子を直接吸い込んだりすることで、私たちはフタル酸エステルにさらされます。
とくに子どもは、床を這いずり回って物を触ったり、口に入れたりするので、曝露のリスクが高いです。
フタル酸エステルへの曝露によって、発がん、肝臓障害、不妊症、甲状腺疾患、喘息、さらには睾丸の縮小、子どもの学習障害、行動問題、注意欠陥障害など、多くの健康問題との関連が指摘されています。
ファストフードの80%から検出
そこで研究チームは、マクドナルド、バーガーキング、ピザハット、ドミノ、タコベル、チポトレ・メキシカン・グリルなど、有名ファストフード店から数十種類の商品を注文し、内容物を分析しました。
その結果、80%以上のサンプルからフタル酸エステルが検出されたのです。
81%には喘息のリスクを高めるとされるDnBPというフタル酸エステルが、70%には生殖能力の低下を引き起こすとされるDEHPが含まれていました。
検出濃度が最も高かったのは加工肉を使ったメニュー(ハンバーガー、チキンナゲット、チキンブリトー)で、フライドポテトやピザなどは比較的少なかったとのことです。
また、フタル酸エステルへの懸念が高まるにつれ、代替の可塑剤が開発されてきましたが、サンプルの86%から、DEHTという代替可塑剤も見つかっています。
これらの代替可塑剤が、通常のフタル酸エステルと同等の害悪があるかどうかはまだ分かっていません。
製造過程のどこかで混入したか
もちろん、製造者がファストフードの材料としてフタル酸エステルを入れているわけではありません。
まだ、その出所は特定されていませんが、チームは、加工・包装機器や従業員が着用しているビニール手袋など、製造過程のどこかでフタル酸エステルや代替可塑剤と接触している可能性が高い、と見ています。
ただ、これと同じことが日本のファストフード製造工程でも起こっているかは分かりません。
研究主任のアミ・ゾータ(Ami Zota)氏は、次のように述べています。
「今回の結果から、低所得のアメリカ人や有色人種がフタル酸エステルに偏って暴露されている懸念が生じました。
所得の低い地域では、ファストフード店が豊富に並ぶ反面、野菜や果物など、健康的な食品へのアクセスが限られています。
今後は、ファストフードに混入しているフタル酸エステルや代替家素材が、許容基準値を上回っているかどうかを調査する予定です」
日本でも同様に、ファストフードは美味しい上に安価なので、若者を中心に人気の食べ物となっています。
日頃からファストフードをよく食べる人は、少し制限したほうがいいかもしれません。