頭蓋骨の粉末を使った飲み薬
頭蓋骨の粉末を使った飲み薬 / Credit:Depositphotos
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かつてヨーロッパでは「人間の頭蓋骨を使った飲み薬」が流通していた

2021.10.29 Friday

ヨーロッパではかつて人間の頭蓋骨が飲み薬として用いられていました

当時の医師たちは、頭蓋骨の粉末を含んだ薬が「あらゆる病気を治してくれる」と考えていたのです。

ほんの300年ほど前に流通していた狂気の治療薬について、当時の様子をご紹介します。

Europeans Once Drank Distilled Human Skulls as Medicine https://www.atlasobscura.com/articles/drinking-skulls

チャールズ2世が死の淵で飲んだ「頭蓋骨の飲み薬」

チャールズ2世
チャールズ2世 / Credit:ナショナル・ポートレート・ギャラリー(Wikipedia)_チャールズ2世

1685年、イングランド王のチャールズ2世は脳卒中で倒れてしまいました。

医師たちはあらゆる手を尽くして王を救おうとしていましたが、王自身はある治療法が効果的だと信じていたようです。

それが医師であり化学者のジョナサン・ゴダードが作った飲み薬でした。

これは頭蓋骨を含んだ飲み薬であり、後に「キングスドロップス(King’s Drops)」として知られるようになります。

キングスドロップスのレシピは複雑で、アルコールと多くの材料から作られていました。

そして、その中で最も重要な材料だったのが、人間の頭蓋骨をすりつぶした粉末だったのです。

この瓶にはかつて、医療用の頭蓋骨の粉末が入っていた
この瓶にはかつて、医療用の頭蓋骨の粉末が入っていた / Credit:Einsamer Schütze(Wikimedia Commons)_Museum für Sepulkralkultur 040

しかも頭蓋骨なら何でもいいというわけではありません。

理想的なのは、「健康で若く、非業の死を遂げた人」の頭蓋骨だというのです。

つまり死刑や戦争の際に得られる頭蓋骨こそが、キングスドロップスに最適な材料だったのです。

晩年、医師たちは王の喉にキングスドロップスを毎日40滴も流し込みました。

当然ながら、望んだ効果が発揮されるわけもなく、逆に王の死を早めたかもしれません。

頭蓋骨の飲み薬はチャールズ二世を救えませんでしたが、多くの人は、頭蓋骨の薬を摂取するのをやめませんでした。

次ページ「頭を摂取すれば、頭の病気が良くなる」という考えが広まる

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