頭蓋骨の粉末を使った飲み薬
頭蓋骨の粉末を使った飲み薬 / Credit:Depositphotos
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かつてヨーロッパでは「人間の頭蓋骨を使った飲み薬」が流通していた (2/3)

2021.10.29 Friday

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「頭を摂取すれば、頭の病気が良くなる」という考えが広まる

頭蓋骨の薬は、16世紀から18世紀に至るまで、イギリスをはじめとするヨーロッパの貴族たちの間で一般的なものでした。

当時の医学は発展途上で、奇妙な治療法がたくさん存在していましたが、その中でも頭蓋骨を用いた治療法は特に人気があったようです。

例えば1643年に発表されたてんかん治療薬には、「暴力的な手段で殺された人間の頭蓋骨が3個」必要でした。

こうした医療が広まった背景には、「体のある部分を食べると、同じ部分が回復する」という思想に基づいています。

「頭を食べれば頭が良くなる」という思想
「頭を食べれば頭が良くなる」という思想 / Credit:Depositphotos

つまり「健康な人の頭を食べるなら、自分の頭の病気が治る」と考えられていたのです。

そしてその思想を元に作られた偽薬から、人々はいくらかの効果を体感していたかもしれません。

当時の人々は頭蓋骨の粉末をチョコレートやワイン、アヘンなどに混ぜていたので、一時的に気分が良くなった可能性が高いのです。

またプラセボ効果によって、思い込みが体調を本当に改善させたかもしれません。

さて人々は、頭蓋骨に対する間違った認識から、その効果を信じ、欲するようになりました。

こうした需要は市場の拡大と流通へとつながります。

次ページ頭蓋骨の薬は市場を大きくした後、科学に敗北する

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