現代人の直接祖先と思われる人種の新たな学名を命名
現代人の直接祖先と思われる人種の新たな学名を命名 / Credit: Ettore Mazza(phys) – Experts name new species of human ancestor(2021)
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現代人の祖先と見られる新人種が「ホモ・ボドエンシス」と命名される

2021.10.29 Friday

Newly named human species may be the direct ancestor of modern humans https://www.livescience.com/new-human-species-named-bodoensis Experts name new species of human ancestor https://phys.org/news/2021-10-experts-species-human-ancestor.html
Resolving the “muddle in the middle”: The case for Homo bodoensis sp. nov. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/evan.21929

今や世界人口は78億人を突破していますが、これらの人は全て「ホモ・サピエンス」というたった1種に属します。

しかしかつては、幾種類もの人類が地球を歩き回っていました。

その中で、どの種がホモ・サピエンスの直接祖先に当たるのかは、今もって調査中です。

そしてこのほど、カナダ・セルビア・中国・アメリカの国際研究チームは、現代人の直接祖先の可能性が高い人種の学名を新たに命名しました。

その名は「ホモ・ボドエンシス(Homo bodoensis)」

ホモ・ボドエンシスは、約50〜60万年前のアフリカにいた人種で、現代人につながる系統の解明に役立つと考えられます。

研究は、10月28日付けで学術誌『Evolutionary Anthropology』に掲載されました。

 

混沌とする「人種」の世界

新たな人種名「ホモ・ボドシエンシス」の復元イメージ
新たな人種名「ホモ・ボドシエンシス」の復元イメージ / Credit: Ettore Mazza(phys) – Experts name new species of human ancestor(2021)

発見された古代人の化石が、既知の種に属するのか、あるいは新種なのかを決めるのは、非常に難しい問題です。

たとえば、現代人(ホモ・サピエンス)とネアンデルタール人は、骨格の違いで別種と判断されます。

一方で、両者はかつて複雑な交配関係にあったことを示す遺伝的証拠が見つかっていることから、「ネアンデルタール人を単一の種とみなすべきではない」とする専門家もいます。

今回の研究では、約77万4000年〜12万9000年前の「チバニアン時代に当たる古代人の化石を調査対象としました。

現代人は約20〜30万年前のアフリカで、ネアンデルタール人は約40万年前のユーラシア大陸で誕生し、どちらもチバニアン時代に属します。

しかし、この時代における人類進化の詳細は、専門家が「muddle in the middle=中間(期)の混乱」と呼ぶように、多くのことが謎のままなのです。

チバニアンを代表する2つの人種

アフリカやユーラシア大陸で発見されたチバニアン時代の化石は、大抵の場合、2つの人種に分類されます。

ホモ・ハイデルベルゲンシスと、ホモ・ローデシエンシスです。

ところが、どちらの種も、自らを特徴付けるべき骨格の特徴が曖昧であり、定義に矛盾点が散見されました。

最近のDNA鑑定の結果、ヨーロッパでホモ・ハイデルベルゲンシスとされていた複数の化石が実は、初期のネアンデルタール人のものだったと判明しています。

この場合、ホモ・ハイデルベルゲンシスという種の規定があやふやになります。

また、発見された化石をして、ホモ・ハイデルベルゲンシスなのか、ホモ・ローデシエンシスなのか、専門家によって意見がまちまちでした。

そこで本研究チームが提案したのが、新たな人種名「ホモ・ボドエンシス(Homo bodoensis)」なのです。

「ホモ・ボドシエンシス」の生活のイメージ
「ホモ・ボドシエンシス」の生活のイメージ / Credit: Ettore Mazza(phys) – Experts name new species of human ancestor(2021)

ホモ・ボドエンシスは現代人の「直接祖先」?

この名前は、1976年に東アフリカ・エチオピアのボド・ダール(Bodo D’ar)で発見された約60万年前の頭蓋骨にちなんで命名されました。

ホモ・ボドエンシスは、先のホモ・ハイデルベルゲンシスとホモ・ローデシエンシスを一括するものです。

研究チームは、ホモ・ボドエンシスが現代人の直接の祖先であり、ネアンデルタール人や、謎めいたデニソワ人を生み出した人類とは異なる枝を形成していると考えています。

デニソワ人は、シベリアやチベットで見つかった化石から、ネアンデルタール人とほぼ同時期に生きていました。

「ホモ・ボドエンシス」が現代人の直接祖先である可能性が高い
「ホモ・ボドエンシス」が現代人の直接祖先である可能性が高い / Credit: Mirjana Roksandic et al., Evolutionary Anthropology(2021)

新たな分類によると、ホモ・ボドエンシスは、アフリカおよび東地中海で見つかったチバニアン時代のほとんどの化石を包含します。

そして、ヨーロッパで見つかったチバニアン化石の多くは、ネアンデルタール人に分類し直されます。

研究主任で、カナダ・ウィニペグ大学(University of Winnipeg)の古人類学者、ミリヤナ・ロクサンディク(Mirjana Roksandic)氏は、次のように述べています。

「これにより、ホモ・ハイデルベルゲンシスとホモ・ローデシエンシスの名前は消えてしまうでしょう。

東アジアで見つかったチバニアン化石については、今度の研究で、また別の種名が付けられるかもしれません。

また、私たちは、人類の進化史を書き換えようとしているわけではありません。

むしろ、古代人に見られるバリエーションを『どこから来たのか、何を表しているのか』、正確に議論できるような仕方で整理したいと考えています」

私たちホモ・サピエンスは一体、どこからやってきたのか、今後の研究に期待です。

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