カリフォルニアコンドルで初の「単為生殖」を確認
カリフォルニアコンドルで初の「単為生殖」を確認 / Credit: PUBLIC RELATIONS(stories.sandiegozoo) – San Diego Zoo Wildlife Alliance Conservation Scientists Report First Confirmed Hatchings of Two California Condor Chicks from Unfertilized Eggs(2021)
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Critically endangered condor chicks are species’ 1st known ‘virgin births’ https://www.livescience.com/condor-chicks-virgin-births-parthenogenesis Study finds California condors can have ‘virgin births’ https://phys.org/news/2021-10-california-condors-virgin-births.html
Facultative Parthenogenesis in California Condors https://academic.oup.com/jhered/advance-article/doi/10.1093/jhered/esab052/6412509

2021.11.01 Monday

史上初、コンドルの「処女懐胎」を確認

史上初となるカリフォルニアコンドル(California condor)の「処女懐胎」が確認されました。

サンディエゴ動物園・野生動物アライアンス(SDZWA)によると、DNAデータベース内にあった2羽のオスの遺伝子を調べたところ、母親の遺伝子しか受け継いでおらず、父親のDNAは一切含まれていなかったとのこと。

ニワトリや七面鳥などの飼い鳥では単為生殖が記録されていますが、野生のコンドルでは前例がありません。

今回の発見は、過去に採取・保存されていたDNAデータから判明したもので、2羽のオスは数年前にすでに死んでいるとのことです。

研究は、10月28日付けで学術誌『Heredity』に掲載されています。

絶滅の危機から、まさかの「処女懐胎」

追跡観察されているカリフォルニアコンドル(左翼に67番の文字)
追跡観察されているカリフォルニアコンドル(左翼に67番の文字) / Credit: Marcio Jose Sanchez(phys) – Study finds California condors can have ‘virgin births'(2021)

カリフォルニアコンドルは、アメリカ南西部・アリゾナ州北部とカリフォルニア州にのも分布する鳥です。

本種は、ほんの数十年前まで、絶滅の危機に瀕していました。

1980年代には、野生個体は20数羽しか残っていませんでしたが、熱心な保護活動と繁殖プログラムにより、危機を乗り越えています。

カリフォルニアコンドル・リカバリー・プログラム(California Condor Recovery Program・米)が昨年12月に発表した報告によると、2020年時点で504羽存在し、そのうち329頭が「野生下で自由に飛び回っている」とのことです。

しかし、本種は依然として危機的な状況にあり、その中で、オス不在の繁殖戦略が見つかったことはきわめて注目に値します。

父親なしで産まれた2羽を発見!

野生下にいる各個体のDNAを採取し、データベース化
野生下にいる各個体のDNAを採取し、データベース化 / Credit: PUBLIC RELATIONS(stories.sandiegozoo) – San Diego Zoo Wildlife Alliance Conservation Scientists Report First Confirmed Hatchings of Two California Condor Chicks from Unfertilized Eggs(2021)

SDZWAの研究チームは、過去30年にわたり、1000羽以上のカリフォルニアコンドルのDNAを収集し、その情報をデータベース化して、追跡調査を続けてきました。

各個体の遺伝子分析を日常的に行い、その関係性を明らかにすることで、集団が遺伝的多様性を維持できるように注意しています。

これは、近親交配やコンドルジストロフィー(condor dystrophy、ヒナの奇形症や胎児期の死亡率の増加)などの遺伝性疾患の発生を防ぐのに役立ちます。

しかし最近、データベースに登録されていた2羽のオスの遺伝子を分析したところ、メス親の遺伝情報としか一致しないことが判明したのです。

この2羽は別々のメス親から生まれた個体でした。

メス親はそれぞれ、妊娠可能なオスと一緒に暮らしており、一方は11羽のヒナを、もう一方は23羽のヒナを通常の有性生殖で産んでいます。

ところが、それと別に、単為生殖で産まれたヒナが1羽ずついたのです。

コンドルの単為生殖では「オス」しか産まれない

鳥の性染色体は、私たちヒトとは違っています。

ヒトでは、女性がXX、男性がXYとなり、母親からX、父親からYを受け継げば、男児が産まれます。対して、両親からXを受け継げば、女児となります。

一方で、鳥類の性染色体は、オスがZZ、メスがZWです。

ここでメス親が単為生殖をした場合、WWの組み合わせは正しく発生できないので、必ずZZとなります。

つまり、鳥の単為生殖ではオスしか産まれないのです。

単為生殖が「好ましくない」理由とは

単為生殖は種を滅ぼす?
単為生殖は種を滅ぼす? / Credit: PUBLIC RELATIONS(stories.sandiegozoo) – San Diego Zoo Wildlife Alliance Conservation Scientists Report First Confirmed Hatchings of Two California Condor Chicks from Unfertilized Eggs(2021)

研究主任のシンシア・スタイナー(Cynthia Steiner)氏は、こう述べています。

「発見された2羽の遺伝子は、父方の遺伝的寄与がなく、100%母親由来のものでした。

コンドルが無性生殖できること、つまり子孫を残すチャンスが増える可能性があることは、非常に大きな意味があります」

一方で、懸念すべき問題もあります。

単為生殖では遺伝的多様性に乏しく、産まれてきた個体が病弱であったり、奇形になるリスクが高いのです。

現に、今回の2羽のオスは、一方が2003年に2才で、もう一方が2017年に8才で亡くなっています。

ですから、単為生殖で繁殖することは好ましくありません。

研究チームは今後、他にも単為生殖で産まれた個体がいるか、メス親が単為生殖するに至った要因などを解明していく予定です。

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