がん細胞だけを殺す「毒入りRNA」も可能
がん細胞だけを殺す「毒入りRNA」も可能 / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
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2021.11.02 Tuesday

狙った細胞に「自分を殺す毒」を作らせるRNA技術が登場 (2/3)

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狙った細胞に狙ったタンパク質を作らせる複合RNA

狙った細胞に狙ったタンパク質を作らせる複合RNA
狙った細胞に狙ったタンパク質を作らせる複合RNA / Credit:Evan M. Zhao et al . RNA-responsive elements for eukaryotic translational control . Nature Biotechnology(2021)

RNAを狙った細胞だけに効果を与えるにはどうすればいいか?

ヒントはRNAが1本鎖である点にありました。

私たちの体の細胞は同じDNAを持っています。

しかし、皮膚や胃の細胞は異なるタンパク質を生産し、異なる機能を持っています。

その原因は、内部で働いているRNAに違いがあるからです。

大本の設計図であるDNAが同じでも、書き写されている部分設計図(RNA)が異なれば、異なるタンパク質が生産され、細胞の種類も別物になります。

そこで今回、ハーバード大学とMITの研究者たちはまず上の図のように、の代りに蛍光タンパク質の設計図を乗せたRNAを作成。

その前方部分に、mRNAを検知する(相補的に結合する)センサー配列と、タンパク質合成酵素(リボソーム)が付着するのを防ぐ防護配列を連結した複合RNA(eToeholds)を作成しました。

興味深いのはここからです。

狙った細胞に狙ったタンパク質を作らせる複合RNA
狙った細胞に狙ったタンパク質を作らせる複合RNA / redit:Evan M. Zhao et al . RNA-responsive elements for eukaryotic translational control . Nature Biotechnology(2021)

通常の細胞にこの複合RNAが存在しても、防護配列のせいでタンパク質合成酵素が付着できないので、何も起きず、時間がたてば複合RNAは分解されていきます。

しかし、特定のmRNAと複合RNAのセンサー部分が結合すると、防護配列が変形してタンパク質合成酵素の結合が可能になり、蛍光タンパク質(生産させたいタンパク質)の生産が可能になるのです。

なお、変形後の防護配列はウイルスが細胞のタンパク質合成酵素をハイジャックするときの配列(IRES)を反映するように設計されており、蛍光タンパク質は細胞内部で優先的に生産されます。

結果、研究者たちは適切なmRNAが存在する細胞において、蛍光タンパク質を発現させ、細胞を光らせることができました。

蛍光タンパク質の代りに毒タンパク質の配列や免疫細胞を刺激する(アポトーシスを開始させる)タンパク質の配列を入れていれば、がん細胞だけを選んで殺すこともできるでしょう。

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