サルの脳に500本の電極を刺し込んで仲間とその他を決定する回路を発見!
サルの脳に500本の電極を刺し込んで仲間とその他を決定する回路を発見! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
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サルの脳に500本の電極を刺し込んで「仲間を見分ける脳回路」を発見

2021.11.07 Sunday

Researchers map neurons in the brain involved with social interactions with others in groups https://www.massgeneral.org/news/press-release/Researchers-map-neurons-in-the-brain-involved-with-social-interactions-with-others-in-groups
Social agent identity cells in the prefrontal cortex of interacting groups of primates https://www.science.org/doi/10.1126/science.abb4149

仲間回路の存在がサルで確認されました。

米国ハーバード大学で行われた研究によれば、サルが相手を仲間として認定し、利他的なプレゼントをするときに活性化する「仲間回路」が発見された、とのこと。

またプレゼントをもらったサルは、自分がプレゼントをあげられる状況になると同様の仲間回路を作動させ、お返しをするようです。

仲間回路の存在は、サルの脳に500本の電極を刺し込み、個々の脳細胞の活動を調査することで明らかになりました。

研究内容の詳細は10月22日に『Science』にて公開されています。

サルの脳に500本の電極を刺し込んで仲間とその他を決定する回路を発見!

近年の科学の進歩により、特定の行動が、対応する脳回路の活動に対応していることがわかってきました。

例えばマウスにおいては「虐待回路」を、脳に刺し込んだ光ファイバーで活性化させると乳児の虐待を引き起こし、抑制すると虐待をストップさせられます。

子どもを虐待するときだけ活性化する「脳の虐待回路」が見つかる

 

この結果は、動物にみられる多くの行動が、対応する回路の活性に支配されていることを示す一端と言えるでしょう。

しかしマウスから得られる知見は限定的であり、応用するにはより人間に近いサルなどの霊長類を用いた実験が必要でした。

そこで今回、ハーバード大学の研究者たちは、人間に近いサル(アカゲザル)を用いて、仲間意識や特定の相手に対する好き・嫌いにかかわる脳回路を探索することにしました。

研究者たちはまず、サルの他者の気持ちを思いやったり、自分と他者の区別を行うといった機能を担当する背内側前頭前野(dmPFC)に500本の電極を刺し込み、500個のニューロンの活動を同時に記録できるようにしました。

円卓を動かせるのは下のサルだけ
円卓を動かせるのは下のサルだけ / Credit:RAYMUNDO BÁEZ-MENDOZA et al . Social agent identity cells in the prefrontal cortex of interacting groups of primates . Science (2021)

次いで研究者たちは3匹のサルを2個のリンゴが置かれた回転する円卓に配置しました。

ただ3匹のサルのうち、卓を回せるのは1匹のみです。

そのため卓を回せるサルは自力でリンゴをゲットできますが、その過程で他の2匹のどちらかにリンゴをプレゼントすることが可能です。

するとサルは相手をみて、自分の好みのサル(仲間)にリンゴをあげられる方向に卓を回しました

研究者たちは同様の利他的な状況を、リンゴの数や位置を変えながら3匹のサルたちに繰り返し行わせます。

すると興味深いことに、プレゼントを受けたサルは自分がプレゼントをできる機会(卓を回す権利)がくると、過去にプレゼントをしてくれたサルにお返しをする一方で、プレゼントをくれなかったサルには報復する場合もみられました

リンゴと回る円卓によって、3匹の間には好意と敵意、嫉妬と羨望が渦巻く関係が構築されていたのです。

問題はここからです。

プレゼントを授受しているときのサルの脳では、いったい何が起きていたのでしょうか?

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