非対称戦争で膨れる軍事費
現代の戦争では、戦う相手同士の軍事力の規模や、用いる戦術・戦略が大きく異る非対称戦争となることが多くなっています。
争いごとの多い中東では、イランの支援を受けたイエメンのフーシ派勢力がサウジアラビアに対してドローン攻撃を仕掛けています。
フーシ派のドローン「Samadシリーズ」は、1,500km以上範囲の長距離ターゲットをGPS誘導で精度に爆撃する能力があります。
石油施設を破壊されては困るため、サウジアラビアはこれを米国から購入した「中距離空対空ミサイル AIM-120 AMRAAM(アムラーム)」で迎撃しています。
しかし、Samadなどのドローンは比較的安価に組み立てることができ、1機あたりの製造コストは約1000ドル(約11万円)程度と言われています。
対してAMRAAMの値段はそんなに安くありません。
ミサイルの購入契約では、通常、訓練やサポート、スペアパーツなどの追加費用が含まれていますが、大雑把に計算してもAMRAAM1基の購入費用は230万ドル(約2億6千万円)ほどです。
2018年に日本がAMRAAMを購入したときも、1基あたり200万ドルで合意したと言われています。
こうした戦いでは、コスト的にフーシ派が有利で、爆撃が成功しても、迎撃されても相手を圧迫することになります。
サウジアラビアはお金持ちなので、今のところ、この事実をさほど気にしていないようで、ミサイルの性能に満足しているようですが、低コストのドローンを高額なミサイルで撃ち落とすという戦い方は、改めないとならないでしょう。
これは攻撃を行うドローンの数が劇的に増えた場合、対処できない問題になりかねません。
そこで、実弾を用いない防衛システムに期待が寄せられているのです。