光でマウスの記憶を消すことに成功! MIBの世界に一歩前進!
光でマウスの記憶を消すことに成功! MIBの世界に一歩前進! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
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光でマウスの記憶を消すことに成功! MIBの世界に一歩前進! (3/3)

2021.11.15 Monday

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長期記憶は2日目の夜に作られる

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Credit:Canva . ナゾロジー編集部

今回の研究により、を用いた記憶削除技術を用いて、マウス内で記憶がいつ、どのような細胞群や神経接続(シナプス)によって保持されているかが判明しました。

記憶はまず最初に海馬に入り、最初の睡眠で海馬内部で再編されて短期記憶となり、2日目の睡眠で海馬から大脳皮質(前帯状皮質)に移動して長期記憶として完成していました。

つまりマウスの脳の中で、記憶は再編と移動を行いながら3つの段階を経ていたのです。

また2日目の睡眠時に神経接続(シナプス)が大脳皮質でみられるという結果は、翌日の睡眠前には、記憶既に海馬からの引っ越しはじめていることを意味します。

さらに追加の実験により各段階のニューロンの電気活動パターンを調べたところ、学習直後は個々の細胞が独自のパターンを持っていたものの、最初の睡眠を境に活動パターンが海馬内部で同期しはじめることが判明しました。

以前の研究によって、長期記憶が呼び起こされるときは海馬と大脳皮質の細胞群同士の活動が同期することも示されています。

もしかしたら記憶の電気的活動は細胞レベルの活動からはじまって、領域内の同期に移行し、そして最後は領域同士の同期をへてより大きなスケールに発展していっているのかもしれません。

研究者たちは今後、記憶が形成されていく仕組みを解明することで、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やトラウマ、うつ病や学習障害など、記憶にかかわる症状の治療に役に立つ薬を開発できると考えています。

何でも好きに覚えたり忘れたりできる世界が来れば、誰もが六法全書を暗記したり、嫌な記憶を削除して新しい自分になれるかもしれません。

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