Tレックスの「小さな目」にはワケがあった!
Tレックスの「小さな目」にはワケがあった! / Credit: Stephan Lautenschlager, Communications Biology(2022)
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Not just tiny arms: T. rex also had super small eyes to accommodate its big bite https://www.livescience.com/trex-traded-big-eyes-for-powerful-bites All the better to better eat you with: Dinosaurs evolved different eye socket shapes to allow stronger bites https://phys.org/news/2022-08-dinosaurs-evolved-eye-socket-stronger.html
Functional and ecomorphological evolution of orbit shape in mesozoic archosaurs is driven by body size and diet https://www.nature.com/articles/s42003-022-03706-0

2022.08.13 Saturday

ティラノサウルスは噛みつきの衝撃で目玉が飛び出す恐れがあった!?

ティラノサウルス(以下、Tレックス)は、地球が生んだ”史上最強の陸上生物”のひとつです。

大きなアゴから繰り出される噛みつきは、獲物の骨の髄まで砕いてしまうほど強烈なものでした。

しかし、そのような噛みつき力と引き換えに、Tレックスは目を小さくする必要があったようです。

英バーミンガム大学(University of Birmingham)はこのほど、中生代の化石を調べた研究で、咬合(こうごう)力の強い肉食恐竜ほど、眼窩が細長く鍵穴のような形をしており、結果的に目が小さくなることを発見しました。

眼窩を鍵穴形にすることで、強烈な噛みつきの衝撃から頭蓋骨を守りやすくなるようです。

研究の詳細は、2022年8月11日付で科学雑誌『Communications Biology』に掲載されています。

眼窩が大きくてまん丸だと、目玉が飛び出してしまう⁈

研究チームは今回、中生代(約2億5200万〜6600万年前)に存在した恐竜化石、計410点を対象に「眼窩」の形状を分析しました。

化石標本には、眼窩が完全に保存されている頭蓋骨と、かなりの信頼度で復元されている頭蓋骨が含まれています。

また、対象とした生物には、トリケラトプスやステゴサウルスといった草食種から、Tレックスやアロサウルス、タルボサウルスのような肉食種まで、多種多様な恐竜を選んでいます。

これらの頭蓋骨を比較した結果、非常に興味深いパターンが発見されました。

草食種の眼窩が「丸い円形」であったのに対し、肉食種の眼窩は「細長い楕円形や鍵穴」のような形をしていたのです。

肉食種の眼窩(左)、草食種の眼窩(右)
肉食種の眼窩(左)、草食種の眼窩(右) / Credit: Stephan Lautenschlager, Communications Biology(2022)

ただ面白いことに、Tレックスやアロサウルスでも、幼い頃は円形の眼窩をしていました。大人になるにつれて、眼窩も縦長や鍵穴のような形に変わっていったのです。

だいたい長さ1メートル以上の頭蓋骨を持つ肉食種は、ほぼすべて細長い鍵穴状の眼窩を持っていました。

これを踏まえると、肉食種は咬合力のパワーアップに応じて、眼窩を変形させる必要があったと考えられます。

そこでチームは、コンピューターモデルを用いて、「円形の眼窩」「鍵穴の眼窩」を持つ肉食種の頭蓋骨を作成し、咬合力が頭蓋骨に与える衝撃の違いをシミュレートしました。

その結果、円形の場合は、噛みつきによって眼窩の変形が大きくなり、より強い衝撃を頭蓋骨に与えることが判明。

一方で、鍵穴の場合、噛みつきによる眼窩の変形幅が小さく、頭蓋骨への衝撃を効率的に吸収できることがわかったのです。

(上:円形、下:鍵穴)黄色いほど頭蓋骨への衝撃度が高く、青いほど低い
(上:円形、下:鍵穴)黄色いほど頭蓋骨への衝撃度が高く、青いほど低い / Credit: Stephan Lautenschlager, Communications Biology(2022)

この結果から肉食種は、体の成長にともない咬合力が増大するにつれ、噛みつきの衝撃から頭蓋骨を守るために、眼窩を変形させていたと結論できます。

子どもの頃は、獲物が小さかったり、親のおこぼれに預かるため、眼窩も円形のままでよかったのでしょう。

またチームは、もしTレックスが鍵穴の眼窩を進化させずに、円形の眼窩を持っていたら、その中の眼球はどうなるかを試算しました。

すると、実際の眼球の重さが約2キロ、幅が13センチであるのに対し、眼窩が円形の場合は、重さ約20キロ、幅30センチに達しただろうという驚きの推定値が算出されたのです。

Tレックスの眼窩が円形(右)だと、これだけ眼球が大きくなっていた
Tレックスの眼窩が円形(右)だと、これだけ眼球が大きくなっていた / Credit: Stephan Lautenschlager, Communications Biology(2022)

研究主任のステファン・ラウテンシュラガー(Stephan Lautenschlager)氏は「(大人の)Tレックスの眼窩が円形であれば、その中に収まる眼球の体積は、鍵穴の場合に比べて約7倍も大きくなっていたでしょう」と指摘します。

もしそんな状態で獲物に食らいついたりしたら、噛みつきの衝撃に耐えられずに、Tレックスの目玉は眼窩から「バビョン!」と飛び出したかもしれません。

Tレックスの”小さな瞳”には、ちゃんと機能的な必然性があったようです。

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