イルカのオスは「ヒト以外で最大の同盟ネットワーク」を築いていた!
イルカのオスは「ヒト以外で最大の同盟ネットワーク」を築いていた! / Credit: Simon Allen – University of Bristol (PNAS, 2022)
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Bromance Leads to Romance For The Ocean’s Horniest Species https://www.sciencealert.com/bromance-leads-to-romance-for-the-oceans-horniest-species Dolphins form largest alliance network outside humans, study finds https://www.eurekalert.org/news-releases/962807
Strategic intergroup alliances increase access to a contested resource in male bottlenose dolphins https://www.pnas.org/doi/abs/10.1073/pnas.2121723119

2022.09.03 Saturday

イルカのオスは仲間の恋愛をサポートするヒト以外で最大の「陽キャグループ」を作っていた!

イルカの世界にも”漢の友情”があるようです。

米マサチューセッツ大学(University of Massachusetts)、英ブリストル大学(University of Bristol)らの研究により、イルカのオスは、ヒト以外で最大の同盟ネットワークを長期にわたり結ぶことが明らかになりました。

オスたちは、グループ内およびグループ間で協力し合うことで、お互いのメスへのアプローチを手助けし、繁殖の成功率を高めていたのです。

こうした集団間の協力的な同盟関係は、これまでヒトに固有のものと考えられ、他の動物では確認されていませんでした。

チンパンジーですら、メスとの交尾をめぐってオスが激しく対立し、最終的には、協力どころか暴力に発展します。

イルカのコミュニケーション能力には、人間に近いものがあるようです。

研究の詳細は、2022年8月29日付で科学雑誌『PNAS』に掲載されました。

オスイルカは3段階の複雑な同盟を結んでいた!

研究チームは、2001年から2006年にかけて、オーストラリア西岸のシャーク湾で、ミナミハンドウイルカ(Tursiops aduncus)の大規模な追跡調査を行いました。

個体ごとの行動や鳴き声をつぶさに記録し、どのような関係を仲間と築いているか観察します。

その中でチームは、121頭のオスの成熟個体に焦点を当て、10年以上にわたり、その社会的ネットワークを追跡しました。

データ分析の結果、オスイルカは、3段階の同盟を結ぶことが判明しています。

まず、一次同盟は、2~3頭の特に結びつきの強いグループです。

これは親友みたいなもので、そのうちの1頭がメスにアプローチする際は、他の仲間が一緒に行動してサポートします。

1頭のメスを追いかける4頭のオス
1頭のメスを追いかける4頭のオス / Credit: Simon Allen – University of Bristol (PNAS, 2022)

そして、この小さなグループはほぼすべて、他の小集団と結びついて、4〜14頭からなる二次同盟を結成していました。

二次同盟では、集団内の協力関係がさらに強化され、他のグループからメスを連れ去ったり、あるいはメスを奪われるのを防ぐシステムとして機能します。

たとえば、ある1頭のメスを一次同盟で追いかけている際、他のライバルグループが横取りしにきたら、すかさず二次同盟が助けに来てくれるのです。

さらに驚くべきことに、別々の二次同盟が協力関係を築いて、より大きな三次同盟を結成することも確認されました。

ここでは、ライバルグループ同士の争いをなくし、代わりに協力し合うことで、メスへの求愛時間がより安定して確保され、繁殖の成功率に繋がっています。

三次同盟に参加している個々のイルカは、最終的に、22〜50頭の仲間と社会的な繋がりを持っていました。

研究者は「こうしたオス同士の同盟関係は数十年単位で続くと見られ、そのネットワークが親密であればあるほど、メスとの繁殖成功率も高まっていた」と述べています。

メス(先頭)を追いかける6頭のオス
メス(先頭)を追いかける6頭のオス / Credit: Simon Allen – University of Bristol (PNAS, 2022)

このように、多層的かつ大規模な社会的ネットワークが観察されたのは、ヒト以外で初めてです。

これほど複雑な関係の中に身を置いていると、への”認知的な負荷”も自然と大きくなるでしょう。

よって今回の研究結果は、哺乳類の脳が大きく進化したのは、複雑な社会的環境への適応のためであるという「社会脳仮説(Social brain hypothesis)」を裏付けるものだ、と研究チームは指摘します。

イルカとヒトは、動物界の中でも特に大きな脳を持つことで有名です。

両者は、まったく異なる環境にいながらも、互いに複雑な社会システムを構築したことで、高度な脳を獲得したのかもしれません。

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