隕石衝突による津波シミュレーション(津波伝播モデル「MOM6」)
隕石衝突による津波シミュレーション(津波伝播モデル「MOM6」) / Credit:Molly Range(University of Michigan)et al., AGU Advances(2022)
geoscience

恐竜を滅ぼした隕石は”富士山を超える4.5kmの津波”を引き起こしていた! (3/3)

2022.10.07 Friday

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世界中の地質データから裏付けが得られる

中生代白亜紀は巨大隕石によって終わりを迎え、新生代古第三紀が始まりました。

この境界は「K-Pg境界」と呼ばれており、このときの堆積物を調べるなら、津波の影響など当時の状況を分析できます。

レンジ氏ら研究チームは、現在公開されている世界中の120の地点の地質学的記録を調査し、それぞれの地点におけるK-Pg境界の堆積物の状態を調べました。

K-Pg境界の地層の例
K-Pg境界の地層の例 / Credit:Glenlarson(Wikipedia)_K-Pg境界

その結果、南大西洋、北太平洋、インド洋、地中海ではK-Pg境界堆積物の証拠が多く見られ、対照的に北大西洋と南大西洋ではK-Pg境界の堆積物が少ないと判明。

そしてこれらの地質データは、研究チームのシミュレーション結果と合致していました。

再現された津波モデルの裏付けが得られたのです。

また注目できる点として、ニュージーランドの特殊な堆積物が挙げられます。

当初この乱れた堆積物は、局所的な地殻活動よって生じたと考えられていました。

ところが、シミュレーションから得られた津波の経路を考慮すると、これがK-Pg境界の露頭(地層・岩石が露出している場所)だと推定できるようです。

津波は、ユカタン半島の隕石衝突地点から1万2000km以上離れたニュージーランドにも大きな影響を与えていたのです。

当時の津波の影響が徐々に明らかになっています。理解が深まれば深まるほど、その脅威も増すばかりです。

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