やまぬ密猟により「サイの角」がここ100年間で短くなっていた
やまぬ密猟により「サイの角」がここ100年間で短くなっていた / Credit: canva
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Rhino Horns Aren’t What They Used to Be, And We Only Have Ourselves to Blame https://www.sciencealert.com/rhino-horns-arent-what-they-used-to-be-and-we-only-have-ourselves-to-blame Photos suggest rhino horns have shrunk over past century, likely due to hunting https://www.cam.ac.uk/stories/rhino-horns-have-shrunk-over-time
Image-based analyses from an online repository provide rich information on long-term changes in morphology and human perceptions of rhinos https://besjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/pan3.10406

2022.11.03 Thursday

密猟が淘汰圧となって「サイの角」が小さく進化していた!

英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)の研究チームは、このほど、19世紀後半から100年以上の間に撮影された写真の分析により、サイの角が時代とともに縮小していることを発見しました。

これは人為的な狩猟や密猟のせいで、長い角を持つ個体が消え、短い角のサイ同士で繁殖していることが原因と見られます。

長期間にわたるサイの角の変化を測定したのは今回が初めてとのこと。

このまま行くと、サイの角は消えてしまうかもしれません。

研究の詳細は、2022年10月31日付で学術誌『People and Nature』に掲載されました。

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現存する全ての種で角が縮小していた

サイは約4700万年前に祖先グループから分岐し、多種多様な進化を遂げ、ほぼ全ての可住域に適応拡散していました。

しかし現在は絶滅の方向へ進んでおり、世界にはすでに4属5種しか生き残っていません。

具体的には、アフリカ大陸のシロサイクロサイ、インド北部〜ネパール南部のインドサイ、マレーシアとインドネシアの一部地域に分布するジャワサイスマトラサイの5種です。

すべての種類が生息地の喪失と密猟の脅威にさらされており、将来的な絶滅が危惧されています。

専門家によると、20世紀初頭には世界に50万頭いたサイが、現在は2万6000頭余りしか残っていないという。

特に2007年以降、サイの角の密猟や違法売買が増加しています。

これは金銭的な価値が高いことに加え、中国やベトナムの伝統的な漢方薬の原料として、サイの角の需要が高まっていることが原因とのことです。

英ウィップスネード動物園で撮影されたインドサイの母子
英ウィップスネード動物園で撮影されたインドサイの母子 / Credit: University of Cambridge – Photos suggest rhino horns have shrunk over past century, likely due to hunting(2022)

さて本研究では、1886年から2018年にかけて撮影されたサイ80頭の写真を対象に角の長さを測定しました。

実際の正確な長さ(cm)は測定できないため、チームは頭や胴体など他の部位も測定し、それとの相対的な比率で角の長さの変化を調べています。

(それぞれのサイズ比を測るために、横から撮られたサイの画像だけを対象としている)

その結果、5種類のサイすべてにおいて、時代とともに体サイズ比に対する角の長さが短くなっていることが判明しました。

1986年にイギリスで撮影されたスマトラサイ
1986年にイギリスで撮影されたスマトラサイ / Credit: University of Cambridge – Photos suggest rhino horns have shrunk over past century, likely due to hunting(2022)

チームは、この変化について「人間が長い期間をかけて角の長いサイを狩猟し続けたことで、ネガティブな選択圧がかかった」と指摘します。

つまり、取引価値の高さゆえに、長い角を持つサイが集中的に狙われて個体数が減少し、あとに残った短い角のサイ同士が繁殖して、その形質を子孫に伝えていると考えられるのです。

これと同じ傾向はアフリカゾウの象牙でも確認されています。

研究主任のオスカー・ウィルソン(Oscar Wilson)氏は「サイが長い角を進化させたのには、食べ物を操作したり、天敵から身を守ったりと明確な理由があるため、角が縮小することはサイの生存にとって不利に働く可能性が高い」と述べています。

サイに対する認識は1950年代を境に激変していた!

これと別にチームは、その他の1600枚以上の写真に加え、16世紀以降に描かれたサイのスケッチやアートワーク1531点を分析し、サイと人間の関わりの変化を調べました。

すると興味深いことに、20世紀前半まではサイが「狩猟すべき恐ろしい獣」のイメージで捉えられていたのに対し、1950年代以降になると「保護すべき野生動物のシンボル」として認識されるようになっていたのです。

たとえば、1900年に描かれたこちらのイラストでは、サイが馬や人をなぎ飛ばす乱暴で危険な存在として表現されています。

画ウィリアム・コットン・オズウェル(1900年)
画ウィリアム・コットン・オズウェル(1900年) / Credit: University of Cambridge – Photos suggest rhino horns have shrunk over past century, likely due to hunting(2022)

また、1911年に撮影されたこちらの写真では、狩りで仕留めたサイを前に威風堂々としている男性が写っています。

ちなみに、この人物は第26代アメリカ大統領のセオドア ・ルーズベルト(1858〜1919)です。

1911年撮影、中央に写るのがセオドア・ルーズベルト
1911年撮影、中央に写るのがセオドア・ルーズベルト / Credit: University of Cambridge – Photos suggest rhino horns have shrunk over past century, likely due to hunting(2022)

今、このような写真が出回ると完全に炎上してしまいますね。

1950年代を境にした劇的な認識の変化は、サイの個体数の減少が人々の目にも顕著になってきたからだと思われます。

これ以降、現在に至るまでサイの保護活動が積極的に推進されていますが、サイの減少は止まっていません。

このまま密猟や違法売買が続けば、角が短くなるどころか、サイ自体がいなくなってしまうかもしれません。

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