JWSTが発見した6つの銀河
JWSTが発見した6つの銀河 / Credit:NASA / ESA / CSA / I. Labbe_‘We just discovered the impossible’: how giant baby galaxies are shaking up our understanding of the early Universe(2023)
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ジェイムズ・ウェッブ望遠鏡の性能が凄すぎて「ビッグバン宇宙論」が修正を迫られる (3/3)

2023.02.24 Friday

前ページ発見されるのは「小さな赤ちゃん銀河」のはず……

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発見された6つの大質量銀河は宇宙論と矛盾している

観測された6つの大質量銀河とその周辺
観測された6つの大質量銀河とその周辺 / Credit:NASA / ESA / CSA / I. Labbe_‘We just discovered the impossible’: how giant baby galaxies are shaking up our understanding of the early Universe(2023)

観測された6つの大質量銀河は、ビッグバン後に誕生したはずです。

しかしそうだとすると、この銀河は誕生後から急速成長し、毎年何百もの新しい星を形成し続けたことになります。

現在の宇宙論では星を形成するために利用できるガスの量について複雑な予測があります。

この予測に従って、今回の銀河の生成を計算した場合、宇宙のほぼすべてのガスが100%近い効率で星に変わる必要がありました。

これはつまり、現在の理論に従って今回の大質量銀河を形成することは不可能ということです。

そのため研究者たちは今回の発見について「現在の宇宙論のモデルと99%矛盾している」と述べました。

これは現在のモデルを変更するか、銀河形成の理解を根本的に再考する必要があることを示唆しています。

それゆえ彼らは、今回発見された6つの大質量銀河を「ユニバース・ブレイカー」と非公式に呼んでいます。

「現在の宇宙論ではありえない大質量銀河」の存在が、その名の通り、宇宙論を崩してしまうかもしれないのです。

ビックバンから5~8億年後の銀河「ユニバース・ブレイカー」たち
ビックバンから5~8億年後の銀河「ユニバース・ブレイカー」たち / Credit:NASA / ESA / CSA / I. Labbe_‘We just discovered the impossible’: how giant baby galaxies are shaking up our understanding of the early Universe(2023)

もちろん、今回取得されたデータに何らかの不備がある可能性はあります。

しかし多くの試みにも関わらず、今のところミスは発見できていません。

またこれらユニバース・ブレイカーが、実際には銀河でなく、別のものである可能性もあります。

例えば、これまでに発見されたことのない種類の大質量ブラックホールなのかもしれません。

そのためチームは、今後ユニバース・ブレイカーのスペクトル画像を撮影する予定です。

これにより、対象の性質、距離、サイズがより詳しく明らかになり、「本物かどうか見分けられる」でしょう。

ただ注意しなければならないのは、宇宙論が崩壊すると言っても、それはいくつかの修正を必要とするというニュアンスに留まる点です。

現在JWSTは現行の理論に対立する多くの発見を報告しているため、一部の人達は「ビッグバン自体が起こらなかったのでは?」など大胆な予測を述べています。

しかしビッグバンが起きたという事実自体は宇宙マイクロ波背景放射などを含め確かな証拠が存在しているため、揺らぐことはないでしょう。

私たちは初期の宇宙における、重要なステップのいくつかを見落としている可能性は濃厚となってきましたが、宇宙の全体像に関する認識が変わるわけではないでしょう。

いずれにせよ、今回の発見が単なるミスだったのか? それとも宇宙論に修正を求める新たな事実が見つかったのか?

今後の報告が今から待ち遠しく感じます。

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