ZTFによって発見された直径4,300キロメートルの白色矮星。月の直径3,500キロメートルとほぼ同サイズ
ZTFによって発見された直径4,300キロメートルの白色矮星。月の直径3,500キロメートルとほぼ同サイズ / Credit:caltech,Giuseppe Parisi/A White Dwarf Living on the Edge(2021)
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月サイズなのに質量は太陽の1.35倍! 史上最小の白色矮星が見つかる (3/3)

2021.07.05 Monday

前ページ重いほど小さくなる白色矮星

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白色矮星の限界質量「チャンドラセカール限界」とは?

白色矮星は重さが足りず超新星爆発に至らなかった死んだ星です。

しかし、彼らは十分な質量を持てば、再び超新星を発火させる力を持っているのです。

太陽は孤独に1人で回る星ですが、宇宙の多くの天体は連星となっていて、伴侶の星を持っています。

もし白色矮星が、伴星と合体したり、伴星を構成する物質のほとんどを奪い取ったりして、どんどん重くなることがあります。

こうして白色矮星が質量を増したとき、あるレベルまで達すると白色矮星は「Ia型超新星(いちえーがたちょうしんせい)」という爆発を起こすのです。

Ia型超新星の概念図
Ia型超新星の概念図 / Credit:天文学辞典,ESA and Justyn Maund, QUB

この限界となる質量を「チャンドラセカール限界」と呼びます。

そしてこのチャンドラセカール限界は、太陽質量の約1.38倍程度だろうと予想されているのです。

さて、今回発見された「ZTF J1901+1458」の重さはいくつだったでしょうか?

それは太陽質量の1.35倍です。

そう、この星は理論上、「Ia型超新星」を起こすギリギリ限界の質量に到達しているのです。

ここまで限界ギリギリ状態の白色矮星は、これまで見つかっていませんでした。

「ZTF J1901+1458」はもともと軽い2つの白色矮星が回り合う連星だったと考えられています。

その2つが合体してチャンドラセカール限界ギリギリの質量の非常に重くコンパクトな白色矮星になったというのです。

これは、2つの連星が非常に近づいて合体したときに見られる特徴である、以上に速い自転速度と、強力な磁場から推測できるのだといいます。

「ZTF J1901+1458」はなんと、自転周期がたった7分で、その磁場は太陽の約10億倍もあるのです。

今回の発見は白色矮星という天体を理解するための非常に貴重なサンプルです。これは今後の研究に非常に役立つだろうと期待されています。

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