単為生殖で生まれたホシザメの赤ちゃん「イスペラ」
単為生殖で生まれたホシザメの赤ちゃん「イスペラ」 / Credit: Zenger/youtube – Miracle Baby Shark Born Even Though There Are No Males In The Tank(2021)
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10年間メスだけの水槽でホシザメが「処女出産」、世界で初めて成功

2021.08.27 Friday

Italian shark has ‘virgin birth’ after 10 years in all-female shark tank https://www.livescience.com/aquarium-shark-virgin-birth.html Baby Shark Born Into All-Female Tank Could Be Scientific First https://www.newsweek.com/baby-shark-born-all-female-tank-could-scientific-first-1622272

今月14日、イタリア・サルデーニャ島にあるカーラ・ゴノネ水族館(Acquario Cala Gonone)で、サメの赤ちゃんの「処女出産」が報告されました。

同水族館によると、母親のサメは「ホシザメ(Common smooth-hound)」の一種で、10年間、メスだけの水槽に入っていたとのこと。

ホシザメの処女出産は、世界で初めてです。

赤ちゃんは、マルタ語で「希望」を意味するイスペラ(Ispera)と命名されています。

 

ホシザメの「単為生殖」は世界初

メスが交尾なしで出産することを単為生殖と言います。

単為生殖はめずらしい現象ではなく、専門家によると、2000種以上の生物で確認されているとのことです。

また、脊椎動物では80種以上に見られ、サメでも、シュモクザメやトラフザメ、テンジクザメでの記録があります。

単為生殖はおもに、「オートミクシス(automixis)」「アポミクシス(apomixis)」の2つの形態に分かれます。

オートミクシスは、母親の遺伝子をわずかにシャッフルして、完全なクローンではないが母親に似た子孫を作るもので、サメでも観察されています。

アポミクシスは、母親の完全なクローンであり、植物でより一般的です。

単為生殖で生まれた「イスペラ」
単為生殖で生まれた「イスペラ」 / Credit: Zenger/youtube – Miracle Baby Shark Born Even Though There Are No Males In The Tank(2021)

フロリダ州・モウト海洋研究所(Mote Marine Laboratory)の海洋生物学者であるデミアン・チャップマン氏は「野生ザメの単為生殖は、気候変動や乱獲、捕食、病気などにより、相手となるオスがいなくなったメスの最終手段となります。

一方で、水族館のような飼育環境下では、オスとメスを長期間隔離することで、単為生殖が引き起こされることが多い」と指摘。

続けて「サメの中には、何年もかけて単為生殖による出産を繰り返す個体や、オスに引き合わせたると有性生殖をに戻る個体も観察されている」と述べています。

こちらは、「イスペラ」が生まれた日の映像です。

単為生殖は、オスを必要としないので繁殖に有利とも思われますが、欠点が多いのも事実です。

たとえば、サメの単為生殖はメスのみで行われ、オスが持つY染色体を受け継ぐことができないため、生まれてくる子はすべてメスとなります。

そのせいで子孫の遺伝的多様性が大幅に減少し、病気への耐性も低下します。

そのため、単為生殖で生まれた子は、一様に生存率があまり高くありません。

イタリアの通信社AGIによると、今のところ、イスペラの健康状態は良好で、飼育下での生活も問題はないとのこと。

また同水族館は、イスペラが本当に単為生殖で生まれたのかを確認するため、母子のDNAサンプルを解析する予定です。

遺伝的に単為生殖が証明されれば、ホシザメでは初の記録となります。

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