化学 ムペンバ効果化学
2020.08.12 Wed お湯が冷水よりも早く凍る「ムペンバ効果」は本当なのか?物理学が答えを出せない理由
point お湯が冷たい水よりも先に凍るムペンバ効果の原因は物理学永遠の謎だった
しかし謎は解明され温度のむらが原因だと判明する
温度にむらがあるとき局所的に高温になった物質は低温の分子状態に素早く移行できる
ムペンバ効果を現実の熱システムに応用できれば温度革命が起こる お湯は冷たい水よりも先に凍ります。
この直感に反した不思議な現象について、最初に言及したのは2300年前のアリストテレスと言われています。
彼は著書において「お湯を早く冷ますには、まず日なたに置くべきである」と記しています。
しかしアリストテレスは「ウナギは泥から発生する」など現代ではとても科学的とは言えない記述も残しており、「お湯を冷ます前にまず温めろ」との言葉も、賢者の世迷言として長い間、忘れられてきました。
しかし1963年にタンザニアに住む13歳の少年、ムペンバ君は、熱い水のほうが冷たい水よりも早く凍ることを発見し、学校で研究成果を発表しました。
これははじめは学校中の生徒と先生に笑われましたが、物理学者が実際にムペンバ君の主張が正しいことを確認すると流れは一転。
熱いもののほうが冷たいものより早く凍るこの現象は「ムペンバ効果」と名付けられ、様々な研究が行われて来ました。
しかし、意外なことに小学生の少年が発見した、この単純な主張は今日に至るまで誰も仕組みを解明することができていないのです。
今回はカナダのサイモンフレイザー大学の研究者たちが発表した単純な粒子の冷却を用いたムペンバ効果の検証実験を紹介し、なぜこの現象の説明が難しいかについて解説していきます。
研究の詳細は、2020年8月5日付で学術雑誌「Nature」に掲載されています。