ワクワクだ。2つの巨大ブラックホールの「事象の地平線」を捉えた観測結果が近日発表されるよ!

space 2019/04/09
Credit: NRAO, AUI, NSF
Point
■「事象の地平線」望遠鏡(EHT)が、いて座A*とM87に存在するブラックホールを捉えた観測結果が近日発表される
■EHTは、世界各地の電波望遠鏡を繋ぎ、高い観測周波数でブラックホールの撮影を試みている国際プロジェクト
■Event Horizon(事象の地平線)を越えた物体は、一瞬で姿を消し、二度と元に戻れない

これは期待大です。

いまだに多くの謎に包まれたブラックホールの実際の姿が、ようやく私たちの目の前に現れようとしています。

近日開催予定の天文学の国際学会で、Event Horizon Telescope(「事象の地平線」望遠鏡、EHT)の観測結果が発表されます。EHTとは、世界各地(ハワイ・アリゾナ・スペイン・メキシコ・チリ・南極)に設置された8つの電波望遠鏡を繋いで、高い観測周波数でブラックホールの直接撮像を試みている国際プロジェクトのこと。2017年4月にある2つのブラックホールの観測を行いました。

一度越えると二度と戻れない「事象の地平線」

宇宙には、暗黒エネルギーや暗黒物質といった、目には見えない力や物質が溢れています。その中でも、あらゆるものを粉々にして飲み込んでしまうブラックホールの存在ほど、人々の好奇心を掻き立ててきたものないでしょう。

人類が銀河の中心で強い光を放つ何かを発見したのは、半世紀以上も前のこと。周辺の星がわずか20年でその周りを回転するほどの、強力な重力を持っていました。

太陽系が天の川を周回するのに約2億3,000万年を要することに比較すると、驚くべき重力ですね。のちに、その不思議な何かは、米国の物理学者ジョン・アーチボルト・ホイーラーによって「ブラックホール」と名付けられました。

ブラックホールの周囲には、白熱したガスとプラズマの帯が渦巻いています。降着円盤の内側の縁、つまりEvent Horizon(事象の地平線)を越えた物体は、一瞬で観測可能な宇宙から姿を消してしまいます。それは、ひとたび足を踏み入れると二度と戻ることのできない「戻らずの地平線」です。

事象の地平線の中心には、ブラックホール全体の質量が圧縮されてできた体積を持たない「特異点」が存在します。事象の地平線と特異点の距離は、つまりブラックホールの半径を意味します。

世界中の電波望遠鏡を繋ぐ「EHT」が捉える2つの巨大ブラックホール

EHTは、従来の調査で用いられてきた装置とはまったく異なる仕組みを持ちます。自身の重さで崩壊してしまう恐れのある巨大な望遠鏡の使用を避け、複数の電波望遠鏡を巨大な鏡の破片のように繋ぐことで、ブラックホールを観測しました。

1つ目のターゲットは、銀河系の中心にある天文電波源「いて座A*」に存在するブラックホールでした。その質量は、太陽のおよそ400万倍。直径は4,400万キロメートルほどです。「十分に大きいので撮影には苦労しないのでは?」なんて考えてしまいますが、26,000光年(245兆キロメートル)離れた地球から捉えるわけですから、月面のゴルフボールを撮影するようなもの。簡単なことではありません。

そして2つ目のターゲットは、楕円形をした銀河「M87」に存在する超巨大ブラックホールです。その大きさは、いて座A*のブラックホールの1,500倍ほどで、地球からの距離もさらに離れています。焦点が正確に定められるように、距離と大きさの均衡が図られたようです。また、天の川の中ではスモッグが薄いことも、このブラックホールが標的に定められた決め手でした。

アインシュタインの一般相対性理論を証明する絶好の機会

広範囲に配置された複数の望遠鏡が集めたデータはすべて集積され、互いに照合されます。その後、特別に開発された画像化アルゴリズムによってデータ間の隙間を埋めると、ブラックホールの真の姿を浮かび上がる…というわけです。

Credit: pixabay

2015年の観測では、重力波探知機を用いて2つのブラックホールが衝突し合体する様子が撮影され、ブラックホール研究に大躍進をもたらしました。アインシュタインの一般相対性理論で予測されたとおり、時空の歪みがさざなみとなって、ユニークな痕跡を残したのです。この際に観測されたブラックホールは、太陽の60倍ほどの大きさでした。

 

ですが、今回EHTが挑んだターゲットは、これらよりも数百万倍大きいブラックホールです。アインシュタインの一般相対性理論が、かつてないほどの規模で証明される絶好の機会になりそうです。

どの惑星推し?太陽系惑星たちの傾きから速さまで「ひと目」で分かるgif動画がおもしろい

reference: phys.org / translated & text by まりえってぃ

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