「最近の子は我慢ができない」は間違っていた。若者の自制心の高さをマシュマロ・テストが証明

psychology 2018/06/27

マシュマロ・テスト

マシュマロ・テストとは、スタンフォード大学のウォルター・ミシェル博士が提唱した実験であり、子どもの「自制心レベル」を測るためのものです。

内容は簡単で、子どもの目の前においしそうなマシュマロを1つ置き、「このマシュマロをあなたにあげます。でも、もし私が15分後に戻ってくるまで食べるのを我慢できたら、そのときに2つ目のマシュマロをあげます。1つ目を食べちゃった場合は2つ目はあげません」と告げて、部屋を出ます。

そして子どもが2つ目のマシュマロをゲットできるかどうかを観察します。子どもがどのくらいマシュマロ好きかにも影響しそうですが、この方法が子どもの「自制心レベル」を測定できるものとして定着しています。

「我慢ができる」現代っ子

「我慢ができない」「忍耐力がない」などと、テクノロジーの発展とともにその欠点を指摘されてきた「現代っ子」ですが、年代ごとのマシュマロ・テストの結果から、それが大きな間違いであることが分かりました。

Cohort Effects in Children’s Delay of Gratification
https://www.apa.org/pubs/journals/releases/dev-dev0000533.pdf

ミネソタ大学のステファニー・カールソン博士が率いる研究チームは、これまでに実施されてきたマシュマロ・テストの実験結果を集めて年代ごとに比較。

そして、待機時間が「10分間」のマシュマロ・テストの結果から、2000年代に実験に参加した子どもたちは、1960年代の子どもよりも平均で「2分間」長く我慢できており、1980年代の子どもよりも「1分間」長く我慢できていたことが分かりました。つまり、「現代っ子」の方が「昔の子ども」よりも長く我慢できるといった事実が数字で表れているのです。

「現代っ子」を過小評価する大人たち

確かにテクノロジーの発達により、昔と比べて我慢しなければいけないシチュエーションは減っているように感じます。大人たちが「現代っ子」を「我慢ができない」と評価することにはそういった背景があるのかもしれません。

カールソン博士も実際にオンラインでアンケート調査を実施しており、そこでは358人の成人アメリカ人に対して「1960年代の子どもと現代の子どもはどちらが我慢強いと思うか?」といった質問が投げられました。その結果、およそ75%もの人が1960年代の子どもの方が忍耐力があると思っていることが分かったのです。

研究チームの一員であるワシントン大学の正田佑一教授は、「この発見は、私たちの『直感』がいかに頼りないものであるのかを示しており、逆に『研究』の重要性を認識させるものです。もしこの研究がなければ、その間違った認識が変わることがなかったかもしれません」と語っています。

 

現代っ子はなぜ「待てる」のか?

実際に昔よりも「現代っ子」が我慢強いことはマシュマロ・テストで明らかになりましたが、その要因はなんなのでしょうか?研究者たちはいくつかの仮説を唱えます。

まず考えられるのが「IQの上昇」です。テクノロジーやグローバリゼーションの発展によって、子どもたちは昔よりも「賢く」なっており、「IQスコア」の数値を伸ばしています。心理学的には、抽象的な思考を発達させれば、喜びを先延ばしにさせられるような「我慢強さ」が得られるとされており、これがデジタル機器に幼い頃から触れ抽象的思考を養ってきた子どもたちが、いい結果を残した要因であると考えられます。

また、「早期教育の充実」も一つの要因として考えられます。1968年のアメリカにおいて、就学前に教育を受けることができた3-4歳の子どもは、全体のうちたったの15.7%です。その数字は、2000年になるまでには50%まで上昇。そして早期教育は「自制心」を養うことを重視しているため、そういった教育の充実が子どもの「我慢強さ」に影響していると考えられます。

 

過去のマシュマロ・テストにおいては「我慢強い」子どもほど、将来的に成功しやすいことも分かっています。もしかしたら現代の子どもたちは、大人たちが想像もできないほど素晴らしい未来を創っていくのかもしれません。

 

via: apa / translated & text by なかしー

 

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