幼児は「社会的地位の高い人」を好むことが判明 ただしNG例も…

psychology 2018/09/23

Point
・幼児が、社会的地位の高い「強者」を好み、社会的地位の低い「弱者」を避けることが明らかになった
・幼児は、「強者」のように見えても、その立場が周囲から認められておらず、暴力などに訴えて強行的に物事進める人は避ける
・こうした社会的行動の動機は、人類の長い歴史の中で発達した生得的能力である可能性が高い

よちよち歩きの幼児は人間関係のイロハなど理解していないように見えますが、意外にもそんなことはないようです。

オーフス大学などの研究者らが生後1歳9か月〜2歳7か月の幼児を対象とした実験を行った結果、人間は幼児期からすでに、周囲にいる相手の社会的地位を物差しにして、好むべき人と避けるべき人を区別していることが判明しました。研究論文は、Nature Human Behavior誌に掲載されています。

以前の研究では、「対向して歩く二人の人物が互いの道を塞ぐ場面を見せられた幼児は無意識に、『社会的地位が低い者は、より地位の高い者に道を譲るだろう』と想定する」ということが明らかになっていました。研究チームはこの説を一歩先に進め、幼児がどのようにして「強者と手を組み、弱者を避ける」ことを好むのかを明らかにしようとしました。

研究者によると、利害関係が衝突する場面で人間が取る行動には、その人物の社会的地位が現れます。「共同体の中で、社会的な立場が弱い者は、より立場の強い者に屈して道を譲ります。そこで、大人と同様に幼い子どもも、相手の社会的地位を区別しているどうかを探りました。

実験では、ステージの両端に2体の操り人形がいて、中心に向かって歩みを進めます。人形は道の真ん中で出会い、互いの道を塞いでしまいます。すると、一方の人形は脇に退いて、別の人形に道を譲ります。道を譲られた人形は歩き続け、ゴールに到達します。研究チームは、幼児たちにこの劇を見せた後で、好きな方の人形を選ばせてそれをプレゼントしました。すると、23名のうち20名が衝突に「勝利した」人形を選んだのです。これは、立場が強い人形、つまり立場の弱い者に自然に道を譲ってもらえる人形を、幼児が好むことを意味しています。

さらに、暴力を使って無理やり勝利するような場合であっても、幼児たちは勝者の人形を好むのかを調べるため、別のグループに同様の劇を見せました。ただし今回は、一方の人形がもう片方を攻撃して腕ずくで道を開けさせてゴールする、というシナリオでした。すると、22名のうち18名が、勝者の人形ではなく、敗者の人形を選びました。

実験結果から、ヒトの幼児は強い立場の者を好むが、それは「立場が周囲から認められていて、暴力に訴え強行的に物事を進めない場合」に限られるということがわかりました。これは、ヒトに近い霊長類のボノボとは異なる特徴です。同様の実験をボノボに行ったところ、力ずくで勝利した場合であっても、好まれるのは「勝者」だったのです。

このことは、共同体の中における人間の生存競争を反映していると考えられます。私たちは、共同体の中で尊敬を集める「強者」から物事を学び、彼らの保護を受けます。「弱者」は、周りに分け与えるだけの能力、ノウハウ、強さ、資源を持つ「強者」に従います。そして、利害関係の衝突が生じた時、私たちは多くの人が納得する解決策に到達する必要があると考えるのです。

大人は、様々な立場の人々やトップに立つ人間(たとえば、良い/悪いリーダーなど)と関わる長期間の経験を通じて、こうした社会的行動の動機を体得できるのだと説明することができるかもしれません。しかし子どもたちは、実験で見せられた衝突の場面など見たこともありません。彼らがこうした社会的動機を得るとは考えにくいでしょう。

「研究結果は、中心となる人間関係を形づくる基本的な社会規範や動機は、人間が生まれつき持つ本能であることを示唆しています。この生得的能力は、人類が共同体の中で共生してきた数千年の間に発達してきたと考えられます」と、オーフス大学のロッテ・トムセン氏は説明しています。

 

小さな子どもたちが、立場が強い人と弱い人を見分けている、しかも「真のリーダー」を見抜いているとは、とても驚きですね。昇進試験の面接で、赤ちゃん面接官に参加してもらうのも一つのアイディアかも…?

 

via: bss / translated & text by まりえってぃ

 

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