なぜ笑顔が「怖い」と感じることがあるのか?

psychology 2018/10/30

Point
・人を幸せな気持ちにする「笑顔」は、時として不安や恐怖を駆り立てる
・人間の「恐れ」の感情は「予測可能性」と深く結びついており、予測できない出来事に対して人は恐怖を感じる
・ロボットや人形の「笑い」に人が恐怖を感じるのは、それらが「感情」とは縁遠い存在であり、感情に基づいた行動が予測できないからである

「笑い」には不思議な力があります。人の笑顔を見るだけで心が暖かくなったり、優しい気持ちになれたりします。しかし、時として「笑い」は、私たちを非常に不安な気持ちに駆り立てます。ピエロの笑顔に戦慄を覚えた経験がある人も多いのではないでしょうか。
幸せの象徴であるはずの「笑い」によって、どうしてこのようなことが起こるのでしょうか?

ピッツバーグ大学の社会学者マーギー・カー氏は、私たちの「恐れ」は「予測」と密接に関わっており、物事が思う通りに進まなかった場合に私たちは「恐れ」を抱くのだと言います。そのため、映画「エクソシスト」などで、愛らしいはずの子どもが予測できない奇妙な動きを見せると、私たちは恐怖を覚えるのです。

当然ですが、人は「楽しいとき」に笑います。そのため「楽しいと感じている人」が笑っているのはとても自然なことですが、その逆に対しては「恐怖」を感じることになります。つまり、「楽しいと感じているはずのない人」が笑っていれば、自分の予測と違う結果が起こっており、そこに恐怖といった感情が湧いてくるのです。

冷酷に、淡々と人殺しをやってのける映画『ダークナイト』の主人公ジョーカーの微笑みに恐怖を感じるのは、その行動が「楽しいはずがない」と私たちが思っているからに他なりません。

カー氏はさらに、生理学的な観点からみると「笑い」と「恐れ」は非常に似通ったものであると語ります。つまり、どちらも「高い興奮状態における反応」であり、誰かに「ワッ!」と驚かされて叫んだ後に笑いがこみ上げるのはこのためであるとのこと。危険を察知して高まったエネルギーが、危険ではないと悟った瞬間に「笑い」へと変換されているのです。

別の例としては、私たちは「ロボット」や「人形」の笑いに恐怖を感じる傾向があります。これは、人間の「感情」とは縁遠いはずのそれらの物体が、「笑う」といった感情に基づく行動を起こすことに不気味さを感じているのです。

以前Amazonの音声アシスタントシステムAlexa(アレクサ)が突然笑い出す現象が相次ぎ、人々を震え上がらせた事件も記憶に新しいかと思います。ここにおいても、Alexaは独立した感情を持たない「はずである」にも関わらず、あたかも感情があるかのような行動をとったことに人々の「予測」とは異なるところがあり、「恐怖」の感情が促されたと言えるでしょう。

もし今、あなたが未来に対して「恐怖」や「不安」を感じているのであれば、それはあなたが未来に対する「予測」を立てられていないことに起因しているのかもしれません。「予測が可能」な安定した未来ではなく、「予測不可能」な道を選んだ人は一生「恐怖」と上手に付き合っていくことを求められていると言えるのかもしれません。

 

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via: livescience / translated & text by なかしー

 

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