地下5kmに生物が!地下世界に地表とは別の「巨大な生物圏」を発見

biology 2018/12/12
Credit: Gaetan Borgonie, Extreme Life Isyensya, Belgium
Point
・坑道の地下深くや海底のボーリングによって開けられた穴から、多数の生物が見つかっている
・地下深くには独自の生物圏があることが示され、その総量は炭素にしておよそ150億トンから230億トンに上ると見積もられる
・過酷な環境で生きるこれらの生物が、どのように生まれ、広がり、生きているのか、今は謎だらけ

地球の地下深くには、「ゾンビ状態」で生きている細菌等による様々な形態の生物がおり、その総炭素量は全人類を遥かに上回って245から385倍いることが、10年以上に渡る研究で分かりました。

国際的な科学者コミュニティーである深層炭素観測所(Deep Carbon Observatory)が、今週ワシントンで開催されたアメリカ地球物理学連合の年会で、地下生物の存在を発表。極度の圧力や高温、栄養の不足する地下深くで見つかった生物種や、その生息量が明らかにされました。

彼らは、海底から更に2.5km掘り進んだ地点から、鉱山などでボーリングされた深度5kmまで調査して見つかった生物サンプルから、地底に存在する生態系モデルを作成。調査地点は数百に及びました。その結果から予測されるのは、地下深くの生物圏が20億から23億立方kmで、構成する生物の総炭素量は150億から230億トンあるということです。

この研究成果は、地球外生命体の生息可能領域の予測にも役立つと考えられています。

Credit: Greg Wanger, California Institute of Technology, USA, and Gordon Southam University of Queensland, Australia

発表の要点は以下のとおりです。

・地下深くの生態系は「地下のガラパゴス」とでも言うべきものだが、主だった生物分類である細菌、古細菌、真核生物が全て含まれる。

・地下深くでは細菌と古細菌がほとんどすべてをしめているが、未だに発見されていないものが何百万種も含まれている。全地球上の細菌や古細菌の70%は地下深くに住むという見積もりもある。

・地下の微生物は対応する地表の微生物とは大きく異なっており、ライフサイクルが地質学的年代に匹敵するほど長いものや、岩石が放射するエネルギーで生きるものがいる。

・遺伝的多様性も、地表に匹敵あるいは超えている。

・地下の微生物コミュニティーは、環境に応じて大きく異なっているが、属や更に上の分類群は全体に行き渡っており、全地球規模で広がっている。

・微生物コミュニティーの豊富さは堆積年代に応じている。年代が古くなると栄養分が減るので、生物群も減少する。

・温度や圧力、エネルギー利用限界などの上限はまだ決まらない。記録が次々に更新されるという状況である。例えば、最も高い温度で生息できる単細胞生物は熱水噴出孔に住んでおり、121℃の環境下でも成長・繁殖できる。

・生物が見つかった最深の地点は、地上の穴では5km、海底の穴だと水深で10.5kmであった。

・人の手の加わった地下に住む生物への影響がより明らかになった。

 

これほど多量の生物が地下で見つかったことから、今までの系統樹を見直す必要も出てくると思われます。また、地上の動物と地下の動物が影響しあって進化した可能性もありますが、まだ何も分かっていません。

Credit: Hiroyuki Imachi (Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology (JAMSTEC)

この新しい生態圏の生物については多くの難問が浮かび上がってきています。まず、どのように広がったかです。地面の隙間から地下へと降りていったのでしょうか?それとも地下から地上に向かったのでしょうか?サンプルが取られた南アフリカからワシントンまで、似通った生物が見つかっています。プレートに乗って広まったのか、微生物の集団ごとひろまったのか?全くわかりません。

次に、その起源です。生物は地下深くで生まれ、地表にあらわれたのか、それとも、地表の水たまりで生まれて地下へと移動したのか。

そのエネルギー源も然りで、地下深くの生物が生きるためにどのようなエネルギーを利用しているのか、また、メタン、水素、自然放射線などがその候補としてあげられますが、どれが最も重要なのか、疑問は尽きません。

 

地下深くの、「とても生物なんて生息できない」と考えられる環境で見つかった巨大生物圏。生物の適応力の高さには驚くばかりです。もしかしたら生物の起源は地下深くだった可能性も考えられますし、これほどの生命力があれば隕石に乗って他の惑星へと広まることも可能に思えます。地球外生命体の可能性をも高めるこの大発見。今後の展開が楽しみです。

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via: Phys.org/ translated & text by SENPAI

 

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