現在の生体工学網膜は人や物の輪郭が分かる
SF小説や映画に登場する義眼は本来の眼球よりも高性能であり、現実ではありえないものです。
しかし近年では、それらも全くの空想とは言えなくなってきました。視力を復活させる生体工学技術が実際に登場しているのです。
当然、現段階で科学者たちが目指しているのは「生体工学網膜の性能をより本物に近づける」ことです。
そしてこれまでに開発されてきた技術は、すでに眼の性能を部分的に再現できています。

例えば、失明治療デバイスを手掛けるアメリカの企業「Second Sight」は、「Argus II」と呼ばれる網膜インプラント技術を生み出しています。
これは遺伝性疾患により失明した人を治療するために用いられる技術です。
Argus IIは手術によって患者の網膜に埋め込まれます。
そして眼鏡型カメラから得られた画像がワイヤレスでArgus IIに送信され、脳はそれを光として解釈できるようになるのです。
現段階で装着者は人物や周囲の輪郭、影、大きな文字を見ることができます。

さらに注目できるもう1つの開発は、オーストラリアのメルボルンを拠点とする「Bionic Vision Technologies」社が開発した「BVT Bionic Eye System」です。
こちらもカメラを通して得られた画像を網膜の後ろに埋め込まれた電極アレイに送信するという技術であり、ある程度の視力回復を実現しています。
実際、Bionic Vision Technologies社の2月28日付けのニュースによると、50歳の父親がBionic Eyeによって息子と娘の姿を初めて見ることができたとのこと。