人間の脳、実は量子コンピューターだった? 科学者が本気で実験を開始

quantum 2018/03/29
Credit: 9to5google

現代技術でも真似出来ない、非常に複雑な情報処理を行っている私たちの「脳」。

カリフォルニア大学の研究者らが、「私たちの脳が、実は量子コンピューターとして働いているのではないか」と仮説をもとに、その可能性を解明するための研究をはじめました。

量子コンピューターとは

量子コンピューターとは、量子力学に基づき、量子もつれや重ね合わせの性質を利用して、量子ビットでの計算を行うコンピューターです。量子もつれは、量子が遠く離れた状態でも相互作用をもたらすことで、「シュレディンガーの猫」で有名な重ね合わせは、「生存」「死亡」など別の状態が重なりあって存在することを表します。

通常のコンピューターが1か0かを1単位として計算するのに対して、量子ビットは複数の状態を同時に持つことができます。よって、ある種の計算では、通常のコンピューターでは考えられないほど早く結果を出すことが出来るのです。

常温の体内でも量子ビットが存在するのか?

しかし「生物である我々の脳が量子コンピューターである」ということは、量子もつれや重ね合わせを持った量子ビットが、常温で湿った私たちの体内に存在するということになり、一見これは不可能に思えます。というのも、現状、機能する量子ビットは極低温下でしか見られないからです。

現在準備されている研究の一つは、原子核を取り巻く電子ではなく、原子核そのもののスピンが量子ビットとして働くのかどうかというもの。中でも、彼らが特に注目しているのは「リン原子」です。リン原子は生物の体に豊富に含まれており、生化学的量子ビットとしての可能性を持っています。研究者の一人は、非常に良く隔離された原子核のスピンが、人間のタイムスケールとして十分長く、量子ビットとして保持され処理されることを期待しています。

Credit: Wikipedia / ミトコンドリアの電子顕微鏡写真

他の実験では、デコヒーレンス(量子重ね合わせ状態)の可能性を見る予定です。デコヒーレンスは量子ビット間のもつれが外れる現象で、もし脳に生物的量子ビットがあるとすれば、このデコヒーレンスを防ぐ機能があるはずです。

また、ある実験では、細胞内小器官で、代謝や情報伝達の役割をしているミトコンドリアを調べる予定です。ミトコンドリアが量子ビットのもつれに重要な働きをしているかもしれません。

脳内での神経伝達物質やシナプスでの発火が、量子コンピューターのように量子もつれのネットワークを生み出しているかもしれません。それを実験室で真似ようという試みもあります。

研究により、どのような結果が得られるかはわかりません。量子コンピュータからのアプローチによって、脳で起きる、長期記憶や意識、感情や自意識のありかがわかるかもしれません。あるいは全く見当違いだったという結果が出る可能性もあります。しかし、研究することは、複雑な生物の仕組みをより理解する助けになることでしょう。

 

via: Science Alert/ translated & text by Nazology staff

 

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