忘れ去られた無線機
調査の結果、無線機は非常に性能が高く、半径1200キロの範囲ならメッセージの送受信が可能だと判明しました。
この距離は、西側のケルンから、当時ソ連側に属していたポーランドのワルシャワに十分届く距離です。
しかし、この無線機が使われることはありませんでした。このことから、この無線機は、他に使用されていた無線機の予備だった可能性も考えられます。
結局、冷戦は終わりを向かえ、無線機はそのまま土の中で忘れ去られたのでしょう。
このまま事件は闇の中と思いきや、研究チームの調査により、無線機を準備した人物を暗示するヒントが見つかっています。
というのも、発見された無線機には、他の「R-394KM」に見られるキリル文字(ロシア文字)の印字がなかったのです。その代わりに、英語で使われるローマ字が印字されていました。
これは無線機が、ロシア人のためでなく、英語話者のために作られたことを示します。この点から、ソ連が準備したものではない可能性も浮上しますが、もちろん、ソ連側があえて印字したカモフラージュとも取れるでしょう。
しかし、埋められてからかなりの時間が経過しているため、これ以上の秘密が明かされることはなさそうです。
無線機は、現在、ドイツ・ボンにあるLVR-ライン州立博物館にて展示されています。