「地球殺し」小惑星の軌道をそらすMITのガチ研究が発表

space 2020/02/25
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小惑星から世界を救うというのは、人類にとってロマンのある話です。これを題材にした映画も数多く存在ます。

しかし、実際小惑星による人類滅亡の危機が訪れた場合、最善の対処法はなんなのでしょうか?

核で撃ち落とすのがいいでしょうか? 宇宙船をぶつけて軌道を反らすのがいいでしょうか?

もし、このような自体に陥ったとき、人類は速やかにいずれかの対策を決断する必要があります。そのとき、何の指針もなくて大丈夫なのでしょうか?

そこでMITの研究者チームは、真面目に小惑星から地球を救うためのガイドラインを作成し、論文として発表しました。

この論文は、宇宙の平和的な科学探査に関する査読付きの科学雑誌『Acta Astronautica』2月号に掲載されています。

Optimization and decision-making framework for multi-staged asteroid deflection campaigns under epistemic uncertainties
https://doi.org/10.1016/j.actaastro.2019.10.042

小惑星の地球衝突シナリオ

今回の研究は、地球に衝突する可能性が少なからず存在する潜在的に危険な小惑星、アポフィスとベンヌを、そらすのに、もっとも成功率の高いミッションは何かをシミュレーションしています。

小惑星が地球にぶつかる場合、重力キーホールと呼ばれる非常に狭い空間領域を通過することになります。

もし、小惑星がキーホールを通過してしまった場合、人々は非常にリスクの高い土壇場の戦略を強いられることになるでしょう。

そこで、研究者が興味を向けるのは、重力キーホールを小惑星が通過することを阻止するというものです。

これが危険な小惑星に対する、混乱の少ない先制攻撃になります。

惑星殺しの小惑星をそらす

2007年に提出されたNASAのレポートでは、小惑星軌道をそらすもっとも効果的な方法は、核爆弾による破壊である、と結論づけています。

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確かに、この核による爆発力は小惑星を吹き飛ばす力があるでしょう。

ただ、今回の研究では、その後の地球は核の放射性降下物に悩まされることになる可能性を指摘しています。

また、核爆発後の小惑星の挙動についても正確な点は不明であり、この選択は政治的懸念が障害になるだろうといいます。

2番めに最良の方法は、「インパクター(衝突装置)」を用いることです。これは宇宙船やロケットといった発射体を、適切な速度と方向で小惑星にぶつけ、計画的に小惑星のコースを変更させるものです。

要はビリヤードのようなものだと、研究者は説明しています。

しかし、この作戦でネックになるのは、小惑星の質量、運動量、軌道、表面組成などの特性について正確な情報が必要になる点だと言います。

こうした情報の一部が欠けていれば、ミッションの成功には不確実性が伴うことになります。

ミッションの成功率は、対応を選択する上での重要な指標です。この不確実性について、現在真面目に検証している例は無いといいます。

小惑星回避シナリオ

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今回の研究は、インパクターを用いた作戦を成功させるにはどうするべきかを検証するものです。

アポフィスとベンヌは、現在地球に対する重力キーホールの位置がわかっている数少ない小惑星の2つです。

そこで彼らは、この小惑星とキーホールの距離に応じて、地球衝突を回避するための様々なシミュレーションを行いました。

もし、アポフィスがキーホールを通過することが5年前に判明した場合、人類は、調査船を送り込み小惑星の詳細なデータを得た上で、確実にコースをそらすための調整を行ってインパクターを発射することが可能だと考えられます。

しかし、アポフィスのキーホール通過が判明してから、猶予が1年しかなかった場合、人類は小惑星を測定して適切な設定のインパクターを小惑星にぶつけることは不可能だと考えられます。

ベンヌに関しては、物質組成に関する知識が多いため、詳しい測定を行うよりも、すぐにインパクターを送り込むことが有効という結果が出ました。

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チームは今後、このシミュレーションツールによって、将来の軌道偏向ミッションの成功を予測できるようにすることを目指しています。

これは人類の危機に際して、何を行うかを検討する時間を短縮するために役立つといいます。

小惑星衝突は、あまり現実味がない話のようにも感じてしまいますが、地球の歴史を振り返れば幾度も起きていた惨劇です。

ノアの方舟のように、そんな災害起きるわけがないと笑うよりは、真面目に危機に備えて研究することが大事なのかもしれません。

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reference: MIT News, livescience/ written by KAIN
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