尿がアルコールに変化する世界初の症例を確認

biology 2020/03/02
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  • 米国の女性は、膀胱内でアルコールを自然醸造してしまった
  • 膀胱内醸造の原因は、体内酵母による「尿に含まれた糖の発酵」だった

「体内で」勝手にアルコールが作られる「自動醸造症候群」は、非常に珍しい病気ですが、今回さらにユニークで前代未聞な症状が発見されました。

ある米国の女性が、膀胱で尿をアルコールに変換してしまう「尿自動醸造症候群」だと判明したのです。

生きた人の膀胱内醸造が記録されたのは世界初めてのことです。

調査の詳細は「Annals of Internal Medicine」に掲載されました。

膀胱が酒蔵に?

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問題の患者は、米国ピッツバーグに住む61歳の女性です。肝臓障害と糖尿病を患っており、肝臓移植の待機リスト掲載を希望していましたが、なかなか許可が下りませんでした。

それもそのはず、実は彼女にはアルコール中毒の疑いがかかっていました。尿検査で繰り返しアルコール陽性反応が出ていたのです。

しかし彼女は一貫して飲酒を否定。確かにお酒に酔っている様子もありませんでした。

またアルコールの2つの代謝産物であるエチルグルクロニドと硫酸エチル反応は、陰性を示していました。この結果に、医者は首を傾げます。

なぜなら、お酒を飲んだ後の数日間は、これらの代謝産物が尿中に存在するはずだからです。

そこで彼女の尿サンプルを、より詳細な分析にかけたところ、彼女の膀胱内でアルコールが自然に醸造されていたことが明らかになったのです。

原因は糖尿病と体内酵母

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アルコールは「糖分」を「酵母」で発酵させることで作られますが、彼女の膀胱でも同様の現象が起きていました。

原因は「カンジダ・グラブラタ」という名の天然酵母です。これはもともと体内に存在する微生物の1つです。

通常の人には、わずかしか存在していない「カンジダ・グラブラタ」ですが、彼女の場合は、なぜか大量に存在していました。

もちろん「体内酵母」の量が多いだけではアルコールは発生しませんが、彼女の場合は、「糖」というもう1つの条件も偶然揃っていました。

彼女は糖尿病だったのです。糖尿病を患ってしまうと、尿に糖が含まれるようになります。

膀胱内で「糖」と「酵母」が同時存在することにより、自然に発酵してアルコールが作られてしまったのです。

医者たちは、症状を改善するために、抗真菌治療で酵母を除去しようとしましたが、その治療は失敗したようです。

また、彼女の特別な事情ゆえに、肝臓移植を再考することにしましたが、最終的に彼女がどうなったのかは、明らかになっていません。

非常に珍しい自動醸造症候群ですが、もしかしたら他の患者でも同様の条件で生じ得るかもしれません。

医師たちは、尿検査によって同様の症状の人が肝臓移植リストから排除されてしまう危険性を警告しています。

「アカン人が酒に暴かれるだけ」だということが科学的に証明される

reference: zmescience / written by ナゾロジー編集部
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