- 米国の女性は、膀胱内でアルコールを自然醸造してしまった
- 膀胱内醸造の原因は、体内酵母による「尿に含まれた糖の発酵」だった
「体内で」勝手にアルコールが作られる「自動醸造症候群」は、非常に珍しい病気ですが、今回さらにユニークで前代未聞な症状が発見されました。
ある米国の女性が、膀胱で尿をアルコールに変換してしまう「尿自動醸造症候群」だと判明したのです。
生きた人の膀胱内醸造が記録されたのは世界初めてのことです。
調査の詳細は「Annals of Internal Medicine」に掲載されました。
Urinary Auto-brewery Syndrome: A Case Report
https://annals.org/aim/article-abstract/2761824/urinary-auto-brewery-syndrome-case-report
膀胱が酒蔵に?
問題の患者は、米国ピッツバーグに住む61歳の女性です。肝臓障害と糖尿病を患っており、肝臓移植の待機リスト掲載を希望していましたが、なかなか許可が下りませんでした。
それもそのはず、実は彼女にはアルコール中毒の疑いがかかっていました。尿検査で繰り返しアルコール陽性反応が出ていたのです。
しかし彼女は一貫して飲酒を否定。確かにお酒に酔っている様子もありませんでした。
またアルコールの2つの代謝産物であるエチルグルクロニドと硫酸エチル反応は、陰性を示していました。この結果に、医者は首を傾げます。
なぜなら、お酒を飲んだ後の数日間は、これらの代謝産物が尿中に存在するはずだからです。
そこで彼女の尿サンプルを、より詳細な分析にかけたところ、彼女の膀胱内でアルコールが自然に醸造されていたことが明らかになったのです。