地球型の系外惑星を「電波観測だけ」で検出成功!ハビタブル惑星発見にも期待

space 2020/03/04
Credit:pixabay
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  • 現在の系外惑星探索は、間接法が主流で、これは木星のような巨大惑星しか見つけられない
  • 新しい研究は、磁気圏の相互作用を利用して、地球型の惑星を電波観測で発見した
  • 居住可能環境を備えた惑星を見つけ出すことも、今後可能になるかもしれない

太陽系外から惑星を探すというのは、非常に難しい観測です。

なぜなら惑星は自ら輝くことはなく、恒星やブラックホールのように強力な電磁波や重力を放出することもないからです。

これまでの系外惑星探索では、惑星が主星の前を通過することで起こる食を利用したり、惑星と主星との相互作用で起こる主星の軌道の変化などを見ることで、惑星の存在を見つけ出していました。

こうした間接的な方法による惑星探索は、惑星が巨大であるほど見つけやすくなります

これはつまり、これまで見つかっている系外惑星とは、そのほとんどが木星・土星のような巨大ガス惑星や、天王星・海王星のような巨大氷惑星ばかりで、小さい岩石でできた地球型の惑星は非常に発見が難しいということです。

こうした問題に対して、新しい研究は、恒星の磁気圏と惑星が起こす相互作用を利用して、電波観測から小さく岩石でできた惑星を探し出しています。

この方法を使えば、地球のような惑星がもっとたくさん見つけ出せるようになるかもしれないません。

この研究は、オランダの電波天文学研究所ASTRONのH.K.Vedantham氏を筆頭とした国際的な研究チームより発表され、『Nature Astronomy』および『The Astrophysical Journal Letters』に掲載されています。

Coherent radio emission from a quiescent red dwarf indicative of star–planet interaction
https://www.nature.com/articles/s41550-020-1011-9

地球型惑星の発見

最近は観測技術の向上により、系外惑星も次々と発見されています。宇宙好きな人たちなら、どこどこで惑星を見つけたというニュースを耳にすることも多いでしょう。

現在の惑星探索は、NASAの宇宙望遠鏡「トランジット系外惑星探索衛星(TESS)」のような、恒星の前を惑星が横切ることで生まれる光の変化を検出する方法や、惑星の重力の影響で惑星の位置のズレを見つけるドップラ-分光法が中心でした。

トランジット法(左)。ドップラー分光法(右)。/Credit:国立天文台,T.M.Brown 2003, Nature, 421, 488,日本天文学会 天文学辞典

こうした惑星の探索方法は、基本的に惑星が巨大なほど見つけやすくなります。

そのため、発見される惑星の多くは巨大ガス惑星や、巨大氷惑星が主です。特に恒星に非常に近い距離に浮かぶ木星型惑星「ホット・ジュピター」は見つけやすく、続々と発見が報告されています。

これらの惑星は非常に環境が特殊で、惑星ではありますが居住可能な環境の惑星(ハピタブル惑星)ではありません。

珍しい惑星を探すことはもちろん学術的には良いのですが、私達が宇宙で惑星を探す場合、その興味の多くは地球によく似た惑星があるだろうか? というところに向いていることは否定できないでしょう。

それは科学者たちも一緒です。

しかし、広い宇宙の中から、地球のような小型岩石惑星を見つけ出すのは至難の業でした。

なんとか、小さい惑星でも直接その存在を検出する方法はないだろうか?

惑星探索を行う研究者たちは、そうした方法を考えていたのです。

木星とイオの関係

イオ (画像中央) に影響される木星磁気圏。/Credit:en.wikipedia

そこでヒントとなったのが、木星とその衛星イオの間にある磁気圏の相互作用です。

衛星イオから放出された火山ガスや大気中の粒子は、宇宙空間に放出された際にイオン化して木星磁気圏に捉えれプラズマトーラスという領域をイオの軌道上に作り出しています。

これは円形に偏向された電波(円偏波)を放ちます。

円偏波。/Credit:Dave3457,en.Wikipedia

新しい観測方法は、磁気圏の相互作用で発生られる特殊な円偏波を検出することで、惑星の存在を見つけ出す方法です。

通常太陽の磁場はそれほど強くはなく、しかもこうした相互作用を起こすためには惑星が太陽に近くなくてはなりません。

そのため普通の恒星を中心とした星系では使えない方法ですが、この方法が役立ちそうな星系が宇宙にはあります。

それが赤色矮星を主星とする星系です。

赤色矮星は太陽のような星と、核融合しない褐色矮星の中間のような星で、暗く温度は低いですが、非常に活発なフレア活動をしていて、強い磁気圏を持っています。

この赤色矮星を中心に回る惑星の場合、距離が主星と近くても過度に加熱されることはなく、重力的な影響もそこまで大きくなりません。

そして、その強力な磁気圏内を惑星が公転する場合、木星とイオと似たような関係で相互作用を起こし、電波波長の円偏波を放つと考えられるのです。

今回の研究チームは、この推測をもとに宇宙から目的に一致した円偏波を検出しました。

こうして発見されたのが、「GJ1151」と名付けられた星です。

「GJ1151」は非常にゆっくりと回転する星で、自転周期は130日です。これは赤色矮星としては非常に穏やかな星と言えます。

ここで検出された惑星は、1~5日で公転している岩だらけの星と推定されています。質量についてはまだ未定です。

これはかなりハードな環境の惑星と考えられます。しかし、これまで検出の難しかった小型岩石惑星を、電波解析だけで発見した初の例になる可能性があります。

この観測の研究は始まったばかりですが、潜在的にハピタブル惑星を見つけ出せる新しい方法を提供していると研究者たちは語ります。

彼らの今後の目標は、磁場環境が系外惑星の居住性にどう影響するかを調べることです。

今回の研究は複数の科学雑誌でも取り上げられており、今後の新世代電波望遠鏡観測にも新しい可能性もたらすものになりそうです。

地球のような惑星が次々と見つかる日も、近いのかもしれません。

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reference: sciencealert / written by KAIN
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