地球上で採水される「水の約半分が泥棒に盗まれていた」!?

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世界の多くの地域では水道設備が確立されており水の確保に困ることはありません。しかし別の地域ではそうではありません。水不足に悩まされていたり、水の窃盗が頻発していたりします。

オーストラリア・アデレード大学の天然資源経済学者アダム・ロッホ氏らの国際研究チームが8月24日『nature sustainability』誌に報告した研究によると、毎年地球上で供給されている水の30~50%が泥棒によって盗まれているというのです。

この報告では、今後訪れる世界的な水不足に備えるために貴重な水供給を保護しなければならないと警告しています。

水の窃盗とは?

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水の窃盗には様々な形態があります。

例えば、処理済みの飲料水の代金を支払うことなく使用することや、環境ガイドラインに違反して自然水源から水を奪うことが含まれます。

そして世界の水使用量の70%を占める農業従事者たちが、しばしば非難の的となってきました。一部の農業従事者たちが不当な仕方で大量の水を使用しているというのです。

これらを合計すると、毎年世界の水供給の半分が盗まれていることになります。

これまで水の窃盗は発展途上国で多いとされてきましたが、調査が不十分であるため、ロッホ氏ら研究チームは水の窃盗が行われている3つの事例を調査し、水窃盗の実態と原因を明確にしました。

その事例とは、カリフォルニアでのマリファナ栽培、スペインでのイチゴ栽培、オーストラリアでの綿花栽培です。

調査の結果、3つのケースは社会規範から地方制度まですべてが大きく異なっていましたが、いくつかの共通テーマが強調されていたのとこと。

利益優先が水窃盗に繋がる

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3つの事例に共通していたのは「市場の需要」です。水の窃盗は単純に大きな利益を生むものであり、ほとんどの場合、環境ガイドラインに従うよりも身近で確実な利益を当人たちに与えます。

実際スペインの事例では渡り鳥の生息地を保護するための規制がありましたが、それらは利益のために無視されていました。

また人の行動と降雨量などの自然変動の両方によって引き起こされる「水供給の不確実性」も水窃盗の主要な要因になるとのこと。

さらに、実質的な取り締まりが行われていないことも水窃盗の原因となります。捕まらないのであれば、人は水を必要としていなくても盗むようになるのです。

水窃盗を無くすには?

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国連によると、水供給は気候変動の影響を大きく受けます。そして洪水と干ばつの両方が増加しており、水利用の可能性が予測できなくなっているとのこと。

また現在、世界の20億人以上の人々が高レベルの水不足にある国や地域に住んでおり、2030年までに最大7億人がそれらの地域から避難するかもしれないと予測しています。

そのため研究チームは、水窃盗をなくすための社会的な取り組みが必要だと主張しています。

彼らは私たちにできる大きな変化の1つとして、「水窃盗罰則の迅速かつ適切な執行」を挙げています。特に遠隔地や農村部で確実な執行が行き渡るなら、水窃盗が大きく減少するとのこと。

また水窃盗の曝露や高度な監視システムやセンサーの開発も窃盗防止に繋がると報告しています。

いずれにせよ、現在・将来の水不足を防止するためには、政府や地域社会の協調的な努力が必要になると研究者たちは結論付けています。

しかし、「地球の水はだれのものなのか?」という根本的な問題は議論され続けており、そもそも水窃盗の定義すら曖昧だとする主張もあります。水問題に関しては、やはり根本的かつグローバルな対応が必要なのでしょう。

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