複数のオルガノイドを基盤の上に配置した様子。左下の呼吸する肺から出た酸素の多い体液は赤で示され、各臓器から戻って来る酸素の少ない体液は青で示されている
複数のオルガノイドを基盤の上に配置した様子。左下の呼吸する肺から出た酸素の多い体液は赤で示され、各臓器から戻って来る酸素の少ない体液は青で示されている / Credit:youtube.TissUse
biology

2020年の「マッドな生物実験」ベスト5 (2/6)

2021.01.27 Wednesday

2020.12.30 Wednesday

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第4位 万能細胞から擬似的なヒト胚を造ることに成功! 命の宿っていない”初期胎児”を再現できる

万能細胞をヒト胚に変化させることに成功した
万能細胞をヒト胚に変化させることに成功した / Credit:nature (文字はナゾロジー編集部が記入)

次に紹介するのは、万能細胞の万能性を行き付くところまで探求した結果、受精卵(ヒト胚)を創造するに至ったという実験です。

現在多くの国で、受精卵を実験に使うことが禁じられています。

受精卵はヒトになる可能性を持っており、みだりに実験に使用することはヒトの尊厳を危機に晒すと考えられているからです

そこで2020年、研究者たちはこの縛りを迂回するために、万能細胞を利用することにしました。

万能細胞はあらゆる細胞に変化する能力を持っているのだから「受精卵にもなれる」と考えたからです。

実験を行った結果は極めて良好であり、人類は精子と卵子を必要としない疑似的な受精卵(ヒト胚)の創造に成功します。

さらに、万能細胞から作られたヒト胚(ガストロイド)は成長を続け、ヒトの初期胎児のように頭部と尾部を持つに至りました。

研究者たちは今後、このガストロイドを使うことで法的に禁じられブラックボックスとされていた数々の実験を行えると考えています。

もしかしたら将来は受精卵からできた人間と、ガストロイドからできた人間が混在する社会になっているかもしれません。

万能細胞から擬似的なヒト胚を造ることに成功! 命の宿っていない”初期胎児”を再現できる

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