戦闘用ではなく、儀式用の戦車(四輪馬車)か
四輪馬車は、古都ポンペイから数百メートルにあるチヴィタ・ジュリアーナ地区にて発見されました。
馬車は、当時あった邸宅の厩舎(きゅうしゃ)につながるポルチコ(建物の玄関に導く、あるいは柱列として拡がるポーチ)から出土しています。
最初に見つかったのは今年1月7日で、それから数週間かけて、遺物を壊さないよう細心の注意を払って発掘作業が続けられました。
また、近年多発しているポンペイ遺跡での違法発掘や遺物の窃盗を警戒して、地元の検察庁の協力も仰いでいます。
その甲斐あって、馬車は、ほぼ完全な状態を保ったまま発掘されました。
鉄の部品や精巧な錫および青銅製の装飾品、石化した木材など、あらゆる面で当時の状態を留めています。
また、装飾の様子から、戦闘用ではなく、結婚式のような祝い事や何らかの儀式に使用されたと見られます。
2018年には、馬車が出土したすぐ近くの場所で、3頭の馬の骨が発見されていました。
オザンナ氏は「今回の発見はイタリア国内で前例のないものであり、古代の生活世界をより深く理解するのに役立つでしょう」と話します。
ダリオ・フランチェスキーニ文化財・観光相は、公式声明にて「ポンペイ遺跡は今なお多くの発見で私たちを驚かせています。未調査のエリアはまだまだ残っているので、今後も新発見は続くでしょう」と述べています。
ポンペイ遺跡では、イタリアで最も人気の観光スポットの一つであり、2019年には390万人が訪れました。
現在は、新型コロナウイルスにより閉鎖中ですが、また一般にも再開される日を待ちましょう。