東南アジアで拡大し続けるバナナの病で、「安くて美味しいバナナ」の危機
バナナ血液病が再び見つかったのは1987年のこと。
インドネシアの西ジャワ州で発見されたバナナ血液病は、インドネシア全土で急速に拡大しました。
現在では、インドネシアの34の州のうち25の州で記録されるまでになっています。
バナナ血液病が壊滅的な損害を与えるため、多くの農家が生産中止に追い込まれました。
最近ではマレーシアにも上陸しており、今後はアジア諸国への拡大が予想されます。
そして病が拡大する中、レイ氏ら研究チームはインドネシアの島々で大規模な調査を行い、過去のデータと比較研究しました。
その結果、世界で最も人気のあるキャベンディッシュ種をはじめとするバショウ属の18品種でバナナ血液病の感染が確認されたのです。
さらに、これまではバナナ血液病に感染しないとされていた品種でも、新たな感染が確認されました。
バナナ血液病は変異しつつ、どんどん拡大しているのです。
現在、世界のバナナ生産量の半数を占めるのはキャベンディッシュです。
スーパーに並ぶバナナのほぼすべてがキャベンディッシュであり、世界のバナナ流通インフラはキャベンディッシュ専用に形づくられています。
もし、このままバナナ血液病を放置するなら、いずれはキャンベディッシュの生産が止まるかもしれません。
世界中でバナナが高騰し、店頭から姿が消えることさえあるでしょう。
レイ氏は、この問題に対して次のように述べました。
「バナナ血液病の急速な拡大は、東南アジアのバナナ生産に対する新たな脅威となっています。
効果的な病害管理の手法を開発するには、病の拡大方式を早急に解明すべきです」
専門家たちが既に動き出していますが、まだ解決には至っていません。
私たちとしては、「安くて美味しいバナナ」が食べられなくなる前に効果的な対処法が見つかるのを願うばかりですね。