相手に合わせて同調笑いする会話ロボット「ERICA」
相手に合わせて同調笑いする会話ロボット「ERICA」 / Credit:井上 昂治(京都大学)_人と一緒に笑う会話ロボットを開発―人に共感し、人と共生する会話AIの実現に向けて―(2022)
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愛想笑いできるロボットを開発 共感によって人間らしさを獲得 (2/2)

2022.10.03 Monday

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相手に合わせて同調笑いできる会話ロボット「ERICA」

自律型アンドロイド「ERICA」
自律型アンドロイド「ERICA」 / Credit:井上 昂治(京都大学)_人と一緒に笑う会話ロボットを開発―人に共感し、人と共生する会話AIの実現に向けて―(2022)

研究チームは、相手に合わせて同調笑いできる自律型アンドロイド「ERICA」を次の手順で開発しました。

まず、初対面の男女による82の会話データから、同調笑いが生じた箇所とそうでない箇所を抽出。

次に、同調笑いが生じた箇所について、その同調笑いが「大笑い」か「社交的な笑い」のいずれであるか判定しました。

最後に、このデータを用いて同調笑いのモデルを作成し、会話ロボットであるERICAに統合しました。

このモデルでは、話し相手が発話した際の音声的な特徴から、①相手が笑ったか、②自分も笑うか、③自分が笑う場合にはどのように笑うか(大笑いか、社交的な笑いか)を判定します。

同調笑いのイメージ
同調笑いのイメージ / Credit:井上 昂治(京都大学)_人と一緒に笑う会話ロボットを開発―人に共感し、人と共生する会話AIの実現に向けて―(2022)

例えばERICAは、相手の社交的な笑いには社交的な笑いで返し、大笑いには大笑いで返します。

また相手が失敗談などで自嘲気味に笑う場合には、ERICAは笑わないようにします。

では、同調笑いできるERICAは「人間らしい」会話を生み出せるのでしょうか?

研究チームはERICAの機能を評価するために、ERICAとの対話音声を作成し、130名以上の第三者に聴取してもらいました。

比較対象として、「ERICAが全く笑わないケース」と「相手の笑いに反応してERICAが常に笑うケース」も用意しました。

その結果、ERICAの適切な同調笑いによって、「ロボットによる共感」、および「ロボットの人間らしさ」といった項目に対する評価が向上しました。

井上氏も「初めて一緒に笑ってくれたときは、まるで心が通じ合ったように感じました」と、ERICAの人間らしさを評価しています。

ERICAのように、適切な同調笑いができるロボットが開発されたのは、世界で初めてのことです。

とはいえ、ERICAは相手の音声的な特徴に基づいて判断を下しているため、「笑いの意味を理解した」わけではありません

このような高度な理解をロボットに与えることは、今後の大きな課題です。

それでも、今回のような同調笑いの獲得は、自然に笑う人間らしいロボットを開発するうえで、これから大いに役立つことでしょう。

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