前進と後退が可能な薄いイモムシロボット
前進と後退が可能な薄いイモムシロボット / Credit:Yong Zhu(NC State)_Robot Caterpillar Demonstrates New Approach to Locomotion for Soft Robotics(2023)
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紙のように薄いイモムシロボットを開発

2023.03.28 Tuesday

柔軟性のある素材を用いた「ソフトロボット」が開発できれば、人間が入り込みにくい環境でも作業や探索が可能になります。

そしてこれらソフトロボットの多くは、自然界に存在する生物を模倣して作られています。

最近、アメリカ・ノースカロライナ州立大学(NC State)の機械・航空宇宙工学科に所属するヨン・スー氏ら研究チームは、イモムシの動きから着想を得た極薄ソフトロボットを開発しました。

電気を流すことで作動し、前進と後退を使い分けながら、わずか3mmの隙間をくぐり抜けることができます。

研究の詳細は、2023年3月22日付の科学誌『Science Advances』に掲載されました。

Robot Caterpillar Demonstrates New Approach to Locomotion for Soft Robotics https://news.ncsu.edu/2023/03/soft-robot-caterpillar/
Caterpillar-inspired soft crawling robot with distributed programmable thermal actuation https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.adf8014

イモムシは後退が得意

「後退できない」生物は、意外と少なくありません。

例えば、カンガルーやヘビ、サメなどは体の構造上、後退ができません。

多くの生物は「後退」が苦手
多くの生物は「後退」が苦手 / Credit:Canva

そして後退できる生物でも、その動作を苦手とする場合がほとんどです。

私たち人間も後ろ歩きできますが、通常の歩行に比べると、はるかに遅くなりますね。

そもそも「後退」が必要な場面などほとんどないため、後退できなかったり苦手だったりしても特に問題はないでしょう。

しかし「非常に狭い道や障害物の多い環境」では、「後退」の機能が役立ちます。

例えば、「車ギリギリ1台分の幅しかない険しい山道を進むと、行き止まりだった」なんて場面では、車がバック走行できることに感謝するでしょう。

このことは災害時の救助・捜索活動にロボットを用いる場合にも当てはまります。

人間には入っていけない環境にアプローチする探索ロボットには、生物たちが苦手とする「後退」機能が必要なのです。

イモムシは「後退」が得意
イモムシは「後退」が得意 / Credit:Canva

そこで研究チームは、シンプルな構造でありながら、前進も後退も得意とするイモムシに着目しました。

イモムシはその体を順番に曲げることで移動しますが、その動きを模倣した薄型のソフトロボットを開発することにしたのです。

次ページイモムシの動きを模倣した薄いソフトロボットが探索に役立つ

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