244エクサ電子ボルトの宇宙線を検出
244エクサ電子ボルトの宇宙線を検出 / Credit:大阪公立大学/京都大学L-INSIGHT/Ryuunosuke Takeshige_【プレスリリース】テレスコープアレイ実験史上最大のエネルギーをもつ宇宙線を検出(2023 ICRR)
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発生源不明の244エクサ電子ボルトの宇宙線「アマテラス粒子」を日本の研究者が発見 (2/2)

2023.11.24 Friday

前ページ地球に降り注ぐ「強力な宇宙線」を観測する

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テレスコープアレイ実験史上最大のエネルギーを持つ「アマテラス粒子」を検出

アメリカ ユタに設置されているテレスコープアレイ実験の地表粒子検出器
アメリカ ユタに設置されているテレスコープアレイ実験の地表粒子検出器 / Credit:大阪公立大学_【プレスリリース】テレスコープアレイ実験史上最大のエネルギーをもつ宇宙線を検出(2023 ICRR)

2008年から2023年現在に至るまで、アメリカ・ユタ州で、最高エネルギー宇宙線観測実験テレスコープアレイ実験が続けられています。

このテレスコープアレイ実験は、ユタ州の砂漠地帯に地表粒子検出器を1.2kmの間隔で507台設置したものであり、700km2の範囲に到来する宇宙線を観測することができます。

非常に高いエネルギーの宇宙線は、地球大気に突入すると、相互作用により、粒子のシャワーとなって広範囲に、ほぼ同時に降り注ぎます。

2021年5月27日にテレスコープアレイ実験で検出された極めて高いエネルギーの宇宙線を地表粒子検出器の信号情報から描画したイメージ図
2021年5月27日にテレスコープアレイ実験で検出された極めて高いエネルギーの宇宙線を地表粒子検出器の信号情報から描画したイメージ図 / Credit:大阪公立大学/京都大学L-INSIGHT/Ryuunosuke Takeshige_【プレスリリース】テレスコープアレイ実験史上最大のエネルギーをもつ宇宙線を検出(2023 ICRR)

テレスコープアレイ実験では、複数の検出器によってこの粒子のシャワーを検出し、信号の大きさと僅かな時間差から、宇宙線の到来方向とエネルギーを推定しているのです。

そして2021年5月27日、テレスコープアレイ実験にて、244エクサ電子ボルト(2.4×1020電子ボルト)の宇宙線が検出されました。

これほど高エネルギーの宇宙線がテレスコープアレイ実験で検出されたのは初めてです。

藤井氏ら研究チームは、この宇宙線を日本神話に登場する神の名前から、「アマテラス粒子」と名付けました。

ただ、これが観測史上最大エネルギーの宇宙線というわけではありません。

これまでに観測された中で最も高いエネルギーの宇宙線は、1991年にユタ州ダグウェイ性能試験場で検出された「オーマイゴッド粒子」であり、そのエネルギー量は320エクサ電子ボルトでした。

この度発見されたアマテラス粒子は、オーマイゴッド粒子に次いで高いエネルギーを持っており、「史上2番目に高いエネルギーを持つ宇宙線」と言えそうです。

2023年5月27日にテレスコープアレイ実験で検出された極めて高いエネルギー宇宙線の信号
2023年5月27日にテレスコープアレイ実験で検出された極めて高いエネルギー宇宙線の信号 / Credit:大阪公立大学_【プレスリリース】テレスコープアレイ実験史上最大のエネルギーをもつ宇宙線を検出(2023 ICRR)

アマテラス粒子を発見した藤井氏は、次のように述べています。

「この極めて高いエネルギーの宇宙線を初めて見つけたとき、かつてないエネルギーの値が表示されていたため、何かの間違いだろうと思いました」

今回発見された宇宙線は、専門家が目を疑うほどの高いエネルギーを持っていたのです。

では、アマテラス粒子の発生源はいったい何だったのでしょうか?

興味深いことに、この宇宙線が到来した方向には、候補となる有力な天体が見つかりませんでした。

ちなみに、過去最大の宇宙線である「オーマイゴッド粒子」の発生源も不明なままです。

通常、宇宙線は空間を通過する際にエネルギーを失っていくため、これら粒子は、最大1億6000万光年の距離を移動するのが限界だと考えられています。

そのため、地球からこの距離の範囲内に、宇宙線の発生源も存在しているはずです。

テレスコープアレイ実験の拡張計画のために製作し、設置を待つ地表粒子検出器
テレスコープアレイ実験の拡張計画のために製作し、設置を待つ地表粒子検出器 / Credit:東京大学宇宙線研究所_【プレスリリース】テレスコープアレイ実験史上最大のエネルギーをもつ宇宙線を検出(2023 ICRR)

しかし、太陽系から1億6000万光年以内には、オーマイゴッド粒子やアマテラス粒子を生じさせるのに十分な天体は、何も見つかっていないのです。

それでも藤井氏は積極的な姿勢を崩しておらず、次のように語っています。

「到来方向に候補天体が見つけられず残念に思うと同時に、ではこの宇宙線はどこから来たのか、という新しい謎が見つかったワクワク感を覚えています」

今後、テレスコープアレイ実験は拡張されていくようです。

もしかしたら将来、更なる宇宙線の検出や分析によって、「未知の天体現象」や「標準理論を超えた新物理起源」が発見されるかもしれません。

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