最もヤバい生物学ニューストップ7
最もヤバい生物学ニューストップ7 / Credit:川勝康弘
science

最もヤバい生物学ニューストップ7 (2/2)

2023.12.30 Saturday

前ページヤバすぎる生物学研究トップ7

<

1

2

>

第1位から3位、どんな雑学王も知らない「最強のトリビア」

第3位:大酒飲みサルの脳遺伝子改造で「断酒」させることに成功!

第3位:大酒飲みサルの脳遺伝子改造で「断酒」させることに成功!
第3位:大酒飲みサルの脳遺伝子改造で「断酒」させることに成功! / Credit:川勝康弘

お酒がやめられないなら、を改造すればいいようです。

米国のオレゴン健康科学大学(OHSU)で行われた研究によって、お酒を大量に飲む習慣を持ったサルの脳細胞の遺伝子を改変したところ、好きだったお酒をほとんど飲まなくなることが示されました。

アルコール依存症のサルたちは脳内の快楽物質「ドーパミン」が少なくなっており、新たにドーパミンを得るために、常にお酒を必要とする中毒になっています。

しかし脳細胞の遺伝子改変によって脳内でドーパミンが過剰生産されるようにしたところ、サルたちはお酒に対する興味を失い、水のほうを好んで飲むようになりました。

研究者たちは命にかかわる重篤なアルコール患者に対して、脳の遺伝子改変は有力な治療法になると述べています。

しかし同時に「この方法は最後の手段であるべきだ」とも述べています。

というのも脳細胞に対する遺伝子改変効果は永続するため、元に戻すことができないからです。

ただ命にかかわるほど重度のアルコール依存症である場合、脳の遺伝子改変は1つの選択肢になるでしょう。

また脳の遺伝子改変によるドーパミン不足解消は、お酒だけでなく他の薬物依存に対して有効な手段になるでしょう。

大酒飲みサルの脳遺伝子改造で「断酒」させることに成功!

第2位:「目と脳を生やした生殖器官」が身体からちぎれて交尾相手を探しに行く驚きの生物

東京大学で行われた研究によって、尻尾部分が交尾のためにちぎれて泳ぎ去る奇妙な生物「ミドリシリス」の秘密が明らかになりました。

尻尾部分は体内に精子や卵子を満載しているだけでなく、分離にあたっては本体とは別の、独自の「目」と「脳」を芽生えさせた「1個体」として泳ぎ始めます。

人間で例えるならば、下半身に新たな目と脳が形成されて分離し「交尾相手を探しに旅に出る状態」と言えるでしょう。

第2位:「目と脳を生やした生殖器官」が身体からちぎれて交尾相手を探しに行く驚きの生物
第2位:「目と脳を生やした生殖器官」が身体からちぎれて交尾相手を探しに行く驚きの生物 / Credit:川勝康弘
第2位:「目と脳を生やした生殖器官」が身体からちぎれて交尾相手を探しに行く驚きの生物
第2位:「目と脳を生やした生殖器官」が身体からちぎれて交尾相手を探しに行く驚きの生物 / Credit:川勝康弘
第2位:「目と脳を生やした生殖器官」が身体からちぎれて交尾相手を探しに行く驚きの生物
第2位:「目と脳を生やした生殖器官」が身体からちぎれて交尾相手を探しに行く驚きの生物 / Credit:川勝康弘
第2位:「目と脳を生やした生殖器官」が身体からちぎれて交尾相手を探しに行く驚きの生物
第2位:「目と脳を生やした生殖器官」が身体からちぎれて交尾相手を探しに行く驚きの生物 / Credit:川勝康弘

この不思議なミドリシリスの性質について「交尾専門の新たな脳をもった個体を作るより、自分で交尾しに行けばいいだろう」と思う人もいるでしょう。

確かに、地球上に存在するほとんどの動物は本体が交尾を行っています。

しかし、交尾のために危険な外界を移動することは自身の生存においてリスクにも繋がります。

ミドリシリスは交尾を専門の個体を生み出し、それに繁殖活動を任せることで、本体自身は安全な場所に隠れたまま生活を続けることが可能になるのです。

しかもその交尾用の尾部は何度でも再生可能と言うメリットもあります。

そう考えると、ミドリシリスの戦略もなかなかに優れていると言えるでしょう。

研究者たちは、ミドリシリス先祖はかつて生殖時期になると全体が遊泳形態に変化していたものの、高い再生能力を生かして、やがて本体は安全なまま尾部だけを遊泳させる形態に進化した可能性があると述べています。

「目と脳を生やした生殖器官」が身体からちぎれて交尾相手を探しに行く驚きの生物

第1位:実は未解明問題「虫が光に引き寄せられる理由」がついに判明!

第1位:実は未解明問題「虫が光に引き寄せられる理由」がついに判明!
第1位:実は未解明問題「虫が光に引き寄せられる理由」がついに判明! / Credit:川勝康弘

「飛んで火に入る夏の」のことわざにみられるように、私たち人類は太古の時代から虫がの周りに集まっていることを知っていました。

文献上の最古の記述は紀元1世紀のローマ帝国時代のものとなっていますが、おそらく現象自体はもっと古くから、それこそ人類が火を使うようになった頃から知られていたことでしょう。

ですが意外にもその「理由」は未解決のままでした。

そこで研究者たちは、素早い虫の動きに追随するためのハイスピードカメラとトラッキングソフトウェアを用意し、人工光源に接近した虫たちに何が起こるかを調べてみました。

すると虫たちは単に光に向かって「突撃」しているのではなく、下の図のように、光によって「上下感覚」が失われ、背中を光に向け続ける飛行に変化していたことが判明します。

第1位:実は未解明問題「虫が光に引き寄せられる理由」がついに判明!
第1位:実は未解明問題「虫が光に引き寄せられる理由」がついに判明! / Credit:川勝康弘
第1位:実は未解明問題「虫が光に引き寄せられる理由」がついに判明!
第1位:実は未解明問題「虫が光に引き寄せられる理由」がついに判明! / Credit:川勝康弘
第1位:実は未解明問題「虫が光に引き寄せられる理由」がついに判明!
第1位:実は未解明問題「虫が光に引き寄せられる理由」がついに判明! / Credit:川勝康弘

3つの結果はどれも虫たちが光源に対して背中を向けようとする過程で引き起こされ、結果的に光源への引き付けにつながっていました。

ここで研究者たちが注目したのが「背光反射」と呼ばれる虫たちの性質でした。

背光反射は虫や魚によくみられる姿勢制御機能であり、明るい方向に背中側を向けようとする反射的な行動になります。

比較的大きな動物にとって上下感覚は重力を感知することで認識されます。

しかし小さな虫や魚にとっては空気や水の粘度が無視できない問題であり、適切な重力を感知することを阻む要因になりがちです。

そのため小さな虫や魚には重力と反対の方向(上)を光の明るさによって感知し、明るい方向に自動的に背中を向ける姿勢制御システムが存在します。

研究者たちは光源への接近が虫たちの背光反射を引き起こして光源への急上昇や墜落を引き起こしている様子が人間にとって「見かけ上」光源に突撃しているように見えている可能性があると結論しました。

どうやら照明は遠くにいる「虫を惹き付けている」のではなく、たまたま近くを通過した昆虫を「明るい範囲に閉じ込めている」だけだったようです。

実は未解明問題「虫が光に引き寄せられる理由」がついに判明!

<

1

2

>

コメントを書く

※コメントは管理者の確認後に表示されます。

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

サイエンスのニュースscience news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!