地球の中心では化学の法則が逆転する!? 地核を構成するケイ酸塩の奇妙な配列とは

science_technology 2018/11/20

Point
・コンピュータ・モデリングにより、地球の中心のマントルを主に構成するケイ酸塩が、地上の化学法則とは真逆の配列を見せることが判明
・ケイ酸塩は通常、陰イオン同士が結合しようとするが、超高温・超高圧の環境下ではこれとはまったく異なる結合になる
・今回の発見は、地球の分子の進化の過程を化学の側面から紐解くのに役立つ

新種の生物が深海で発見されたというニュースを耳にするたびに、未踏の領域が無数の謎に満ちあふれていることを実感する人は多いでしょう。しかしそれは、深海に限ったことではありません。

正真正銘の「未踏の領域」である地球の中心…マントルには、さらに多くのミステリーが詰まっています。超高温・超高圧のマントルの中には、化学の法則では説明できない不思議な液体が満ちているかもしれないのです。

ある研究チームが、「ダイヤモンドアンビルセル」による単結晶のX線回析法(結晶などの複雑かつ極小の物体を捉えるのに使用される)を用いたコンピュータ・モデリングで、さまざまな圧力や温度の環境における「ケイ酸塩」の分子配列を再現しました。「ダイヤモンドアンビルセル」とは、化学実験で用いられる高圧力を印加する装置のことです。 「ケイ酸塩」は、地殻のほとんどを占める造岩鉱物の主成分であり、マントルのほとんどもこれから成ると考えられています。シミュレーションの結果、超高温・超高圧の環境下においては、ケイ酸塩の配列が通常の化学の法則では説明できない動きをすることが判明しました。論文は11月15日付で、Nature誌に掲載されています。

Metastable silica high pressure polymorphs as structural proxies of deep Earth silicate melts
https://www.nature.com/articles/s41467-018-07265-z#Sec2

通常の化学の法則において、結晶は陰イオン同士が長い辺で接している時により安定した状態に保たれるとされています。陰イオンは、できるかぎり陽イオンから離れようとする性質を持つため、陰イオン同士が結合した状態はもっとも安定した配列なのです。

ところが、超高温・超高圧の環境下では、この法則が逆転することが明らかになりました。実際、八面体の形状を持つ液体ケイ酸塩は、複数の側面同士で互いに結合して、さまざまな配列を作ることが判明。特に、著しく高い温度・圧力に晒された時、液体ケイ酸塩は、これまで見たことがないような奇妙な配列を作りました。

Credit: Nature

この発見は、地球の分子の進化の過程を化学の側面から紐解くのに役立つと期待されています。地核に存在する液体の仕組みとその進化を理解するには、その構造と収縮のメカニズムに関する物理的・化学的な情報が不可欠です。

実は、地核における固体・液状の岩の形成、循環、動きは、地球の表面の環境に大きな影響を与えている因子の一つです。地球内部の激しい揺れ動きこそが、地球の大気を作り、重力を生み出すのです。とてつもなく重要な役割を担っているマントルを実際に訪れてみたいところですが、それはとうてい不可能なので、この「未踏の領域」の分子の構成を理解するにはコンピュータによるシミュレーションに頼るしかありません。

 

足を踏み入れることが叶わないからこそ、余計に想像力が掻き立てられますね。まさに天と地がひっくり返ったような「摩訶不思議な化学の法則」に支配された奇妙な世界が、地球の奥深くには存在しているのかもしれません。

 

地球は「巨大な一つの生命体」。「ガイア仮説」を説明する新理論が発表される

 

via: motherboard / translated & text by まりえってぃ

 

SHARE

TAG

science_technologyの関連記事

RELATED ARTICLE