psychology

与える喜びは受ける喜びより長続きすることが判明

2021.01.27 Wednesday

2018.12.23 Sunday

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Point
■他者に与える喜びは、他者から受ける喜びよりも長期間継続することが判明
■他者に与えることによって得られる幸福は、幸せな出来事に徐々に慣れ、幸福や感謝を感じられなくなる「快楽順応」が起きにくい
■他者に与える行動を幸せを導き出す唯一無二の出来事として経験し、社会的な繋がりが強化されるため、幸福感が長続きする

与うるは受くるより幸いなり—。このことを体験的に実感している人は多いのではないでしょうか?

人は嬉しいことが起きても、次第にそれに慣れてしまい、幸せや感謝を感じられなくなります。この「快楽順応」と呼ばれる現象は、私たちの幸福を阻害する要因の一つである一方で、私たちが新たな幸せの源を追い求めようとするための原動力にもなりえます。でも、誰かに与えてもらうのではなく、自らが他者に与えることによって得られる喜びは、「快楽順応」の適用を免れることができるかもしれません。与える喜びは受ける喜びよりも長期間継続することが、ある研究で示されたのです。

研究を行ったのは、シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスのエド・オブライエン氏ら。2つの実験を通して、他者から同様の贈り物を連続して受け取った場合と比べて、他者に贈り物を連続して与えた方が、人の幸福感は低下しないか、または、低下してもその速度がずっと緩やかなことを明らかにしました。

自分のためにお金を使ったグループの幸福度がより早く低下

1つ目の実験は、96名の大学生を対象にしたもの。被験者らは、5日間にわたり1日につき5ドルを支給され、毎日そのお金を使うよう指示されました。彼らは、自分自身のためにお金を使うよう指示されるグループと、自分以外の誰かのために使うよう指示されるグループに、無作為に分けられました。前者は、お金を行きつけのカフェにチップとして毎日置いたり、同じ慈善団体に毎日オンライン寄附を行ったりするために使いました。被験者らは、自分の消費体験と総合的な幸福度についての振り返りを毎日行いました。

その結果、ある明確なパターンが見えてきました。実験を始めた時点では、両グループともに同程度の幸福度を報告していたのに、自分自身のためにお金を使ったグループでは、時間の経過にともなって幸福度が着実に低下したのです。これに対し、他者のためにお金を使ったグループでは、幸福度が低下しない傾向が明らかに。5日目の幸福度は、初日の幸福度とほぼ同程度に高いことが明らかになりました。

次ページ「結末」に目を向けると感受性を失う

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