死なない星? 神秘的な「ゾンビ星」が宇宙に現る!

space 2017/11/17
超新星イメージ / Credit: European Southern Observatory/M. Kornmesser.

新星は死ぬ前の星なのに、なぜ「新星」というのでしょうか。

星は死ぬ前に明るく輝きますが、それを「新星爆発」といいます。実は昔、新星爆発の輝きは星の死とは認識されておらず、その明るさから「星が生まれた!」と思われていました。当時の呼び方が、そのまま使われているわけです。

これまではその爆発の輝きも、通常数ヶ月で消えるのが常識でしたが……。

最近、50年以上も爆発を続けている不思議な星「iPTF14hls」が観測されました。

「この超新星は、我々の知識や常識を見事に覆した」と、サンタバーバラ大学とラスカンブレス観測所の筆頭著者であるラヤー・アルカビは述べています。

「これは恒星の爆発を10年間研究した中でも最大の謎です」

Source: Energetic eruptions leading to a peculiar hydrogen-rich explosion of a massive star – nature
https://www.nature.com/articles/nature24030

何度でも生き返る!? 奇妙なゾンビ星

超新星の残骸。おうし座のかに星雲。月の1/5程度の直径に見える / Credit: Wikipedia

新星が消える時、ほとんどの大きな星はブラックホールに崩壊するか、もしくは明るく輝いて燃え上がり、その数ヶ月後には消えてしまいます。そのためiPTF14hlsが50年前に爆発し、2014年に再び爆発してなお存在することは、とても奇妙な現象でした。さらに、この星は現在も爆発を続けており、今日でもその残骸を見ることができるというのです。

天文学者が初めてiPTF14hlsを発見した2014年9月には、それは普通の星と考えられていました。しかし数ヶ月後、ラスカンブレス観測所の天文学者たちは、これまでに見たことがない現象を目の当たりにしました。iPTF14hlsは、一時消えそうになりながらも、再度明るく輝きはじめたのです。研究者たちが観測をつづけると、その超新星はゾンビのように、激しく衰退と回復を2年間の間に5回繰り返していました。

天文学者が過去のデータを調べ、1954年に同じ星が爆発した事実を発見すると、半世紀後の今まで存在しつづけているゾンビ星の話は瞬く間に注目されることになりました。

1954年に観測された超新星が、50年後にも現れた / Credit: Las Cumbres Observatory

研究によると、この星はおそらく太陽よりも50倍大きく、これまでに発見された星の中でもiPTF14hlsは最も巨大な恒星の爆発であろうと予想されます。

LCO超新星グループのリーダー兼研究の共著者であるアンディ・ハウェルは、「この爆発は初期の宇宙でしかみられず、今日ではこのような活動は停止しているはず」と述べています。

「これは、今日恐竜が生きているのを発見したようなものです。発見した場合は、本当にそれが恐竜なのかを疑問に思うでしょう」

爆発のエネルギーはどこから? ブラックホール解明の鍵となるか

今回の発見によって研究者たちは、数十年の間で起こる、もしくは再発するような超新星の新しいモデルを考えなければなりません。その理論とは、「巨大な星が崩壊してブラックホールになる前には、星の核が非常に熱くなるので、一連の爆発がかなり長い時間外側の層を吹き飛ばしている」とするものです。

ただこの巨大な超新星の新モデルは、全体の謎を完全に解決するものではありません。爆発に必要となるエネルギーがどこから来るのかを完全には解明していないからです。「このような巨大な星の激しい質量放出には別のメカニズムが必要になるのではないか」とこの研究では考えられている。

USサンタ・クルスの物理学者スタン・ウースリーによるNatureのコラムでは、「この奇妙な超新星の謎を解くことは、最初に重力波が作られたブラックホールのさらなる理解につながる」と指摘しています。

「今のところ、この超新星は天文学者に最高のスリルを提供しています。だって、誰もこの星を解明できないのですから」

ブラックホールの謎を解く鍵となる可能性のある、「ゾンビ星」。その謎を解くまでは、どうかゾンビのままいて欲しいものです。

 

via: phys.orgsciencealert.com

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