地球どうなっちゃうんです? 恐ろしいスピードで拡大する「巨大な穴」を南極のスウェイツ氷河で発見

geoscience 2019/02/01

Point
■南極のスウェイツ氷河に巨大な穴が空いていることが判明
■穴は、140万トンの氷の体積に相当し、ここ3年ほどでできたと推測
■人工衛星と、氷を貫通するレーダーを搭載した飛行機を使って、氷河を計測した

地球温暖化の波が、地球上で「もっとも辺鄙な場所」にまで押し寄せてきました。

南極のスウェイツ氷河に、マンハッタンの3分の2もの大きさの巨大な穴が空いているのが見つかりました。数十年の歳月をかけて、ゆっくりと解け、次第に大きくなっていったようです。

雑誌「Science Advances」に1月30日付けで掲載された論文によると、約17万平方キロメートルのサイズの氷河の下に、深さ300メートルほどの空洞がぽっかりと空いているとのこと。NASAのジェット推進研究所、カリフォルニア大学アーバイン校、ドイツ航空宇宙センター、仏・グルノーブル大学が、共同調査を行いました。

Heterogeneous retreat and ice melt of Thwaites Glacier, West Antarctica
http://advances.sciencemag.org/content/5/1/eaau3433

ここ3年で140万トンもの体積の氷が消失

穴の存在は、飛行機で北極・南極の氷を観測するNASAのプロジェクト「オペレーション・アイスブリッジ 」のデータと、1992年から2017年にかけてのスウェイツ氷河の変化をレーダーで捉えた記録をもとに明らかになりました。

ジェット推進研究所のレーダー科学者ピエトロ・ミリロ氏は、これを「悩ましい発見」と呼びます。この穴は、140万トンもの氷の体積に相当します。しかも、たったここ3年ほどでできたようです。大都市ロサンゼルスの年間消費水量が10万トンであることを考えれば、どれほどの量の氷があっという間に解けてしまったかが分かります。

スウェイツ氷河の「ゆるさ」は数十年前から指摘されていましたが、科学者たちは穴の大きさと氷が解ける速度を甘く見積もっていたようです。

氷河がすべて溶けると世界全体の海面が60cm上昇

氷河はほとんどの場合、あまりにも巨大で、孤立しているため、そのサイズを正確に把握することは簡単ではありません。そこで研究チームは、人工衛星と、氷を貫通するレーダーを搭載した飛行機を使って、スウェイツ氷河を計測。その結果、大陸に接した氷河の西側部分が、1992年以降毎年600〜800メートルづつ陸から後退していることが判明しました。

一方、東側は、複数の細い水路を通って氷河の縁が溶け出しています。ミリロ氏はその様子を「まるで氷河の下から伸びた食指が氷を解かしているようだ」と表しています。その後退速度は、1992〜2011年までは毎年約400メートルでしたが、2011年〜2017年では約800メートルと、2倍に上がりました。

こうした背景には、地形、氷の縮小、大量の温かい塩水によってもたらされる氷の溶解など、多くの要因が存在しています。氷と海の複雑な相互作用によって、氷河の底に捉えられた温かい海水の量が増えるほど、ますます穴が広がるという悪循環が生まれるのです。もしスウェイツ氷河がすべて解けてしまったら、世界全体の海面は60センチメートル近く上昇します。

まずは、恐ろしいほど巨大なスケールで進むこの現象の「程度と速度」を知ることが重要です。南極と北極の全体をより正確に、そしてより頻繁に計測できる、新世代の人工衛星の開発が急がれます。

もし南極の氷河がすべて解けてしまったら、世界全体の海面は3メートル上昇するという試算があります。その時、地球環境にどんな影響がもたらされ、私たちの生活にどんな変化が起きるのでしょうか?

氷河の後退は、すでに後戻りできないところまで来てしまったようです。

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reference: motherboard, dailymail/ translated & text by まりえってぃ

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