NO休憩NO上達 休憩中の脳内では練習内容が超高速再生され上達効果をうんでいたと判明!
NO休憩NO上達 休憩中の脳内では練習内容が超高速再生され上達効果をうんでいたと判明! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
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練習中ではなく「頻繁な休憩」がスキルを上達させると判明

2024.06.19 Wednesday

2021.06.16 Wednesday

上達したいなら頻繁に休んだほうがいいかもしれません。

2021年にアメリカの国立衛生研究所(NINDS)の研究チームは、ピアノのような新しいスキルを習得する練習では、頻繁な休憩を行う方が効果的な上達ができるという研究結果を報告しました。

またこの研究では、スキルの上達は練習中には起こらず、休憩中にのみ発生することが示されています。

新しい技術を習得しようとすると、私たちの脳内ではどのようなことが起こっているのでしょうか?

この研究にかんする論文は、2021年6月8日付で科学雑誌『Cell Reports』に掲載されています。

Study shows how taking short breaks may help our brains learn new skills https://www.ninds.nih.gov/News-Events/News-and-Press-Releases/Press-Releases/Study-shows-how-taking-short-breaks-may-help-our-brains
Consolidation of human skill linked to waking hippocampo-neocortical replay https://www.cell.com/cell-reports/fulltext/S2211-1247(21)00539-8?_returnURL=https%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS2211124721005398%3Fshowall%3Dtrue

新しいスキルは休憩がなければ上達しない

NO休憩NO上達 新しいスキルは休憩中に上達が起こる
NO休憩NO上達 新しいスキルは休憩中に上達が起こる / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

多くの人が、ピアノや自転車など、新しい技能の獲得のために時間をかけて繰り返し練習した経験があると思います。

皆さんはこうした練習の際、どのタイミングで技能が獲得でき、上達したと感じているでしょうか?

ひょっとすると、いくらやっても全然上手くできなかったのに「一晩寝たらできるようになった」ということはないでしょうか?

実はこれはよく報告されている事実で、この不思議な現象は脳科学でも大きなテーマにされています。

こうした休憩に伴う上達効果は、別に一晩置かずとも「目覚めた休憩」でも起こることが知られています。

難しくて投げてしまった部分を、トイレから戻ってやってみると、すんなりできてしまったという覚えを持つ人も多いでしょう。

しかし多くの人が経験として知っている現象であっても、僅かな休憩で技能が上達する理由はわかっていませんでした。

そこで今回、アメリカの国立衛生研究所(NINDS)の研究チームは、この「目覚めた休憩」が上達をうながすメカニズムの解明を試みたのです。

こうした研究で難しいのが、被験者たちに何を練習してもらうかという問題です。

ピアノや縄跳びなどスキルは数多く存在しますが、ピアノは音楽性やリズム感、縄跳びは筋肉量や肥満度など、上達を制限・ブーストする複数の要因があるため、結果にノイズがまじってしまいます。

同じ数字の入力練習を行いつつ脳波を測定し、休憩中に脳内で何が起きているかを確かめた。図に用いた画像は本研究メンバーも参加した類似研究のもの
同じ数字の入力練習を行いつつ脳波を測定し、休憩中に脳内で何が起きているかを確かめた。図に用いた画像は本研究メンバーも参加した類似研究のもの / Credit:Marlene Bönstrup et al (2020) . npj Science of Learning . Mechanisms of offline motor learning at a microscale of seconds in large-scale crowdsourced data . ナゾロジー編

そこで研究者たちは極めて簡単な作業練習を選択しました。内容は「4・1・2・3・4」という5ケタのキー入力を10秒間に可能な限り早く行うというものです。

この研究では、まず練習時の脳活動を測定するために、人間が特定の数字を脳内で念じた時に、どのような脳波パターンが発生するかが調査されました。

そしてその結果を反映させて、作業時に被験者が脳内でどの数字を念じているか感知する装置が開発されました。

研究者たちは33人の被験者に対して10秒間のキー入力練習と10秒間の休憩というセットを35回行ってもらい、その間の被験者たちの脳活動を測定しました。

すると意外な結果が分かりました。

スキルレベルの上達は練習中にはほとんど起こらず、休憩中に起きていた
スキルレベルの上達は練習中にはほとんど起こらず、休憩中に起きていた / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

上の図が示すように、練習の成果は練習中に全く上達しない一方で、10秒間の休憩が終わるごとに上達していたのです。

また上達度は35回のうち、最初の11回の休憩中が最も大きく、その後は横ばいになっていました。

これは日常的な経験則とも一致します。

楽器や自転車の練習でも、演奏中や乗車中にモリモリ上達するという感覚は少なく、日をはさんだり休憩をはさんで何度も取り組むうちに、気付いたら上手くなっていきます。

そして、その上達の度合いは最初が早く、繰り返すほど緩やかになります。

実験結果は、それが5ケタの数字の入力するという、極めて単純な作業の練習でも起きていることを示します。

さらに興味深いことに、起きている間の短い休憩は、1晩おく休憩よりも上達度を上げるのに効果的であることもわかりました。

どうやら休憩を挟んで起きる上達効果は、ほんの「秒」単位でも起きているようです。

しかしそうなると、気になるのが休憩中に脳内で何が起きているかです。

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