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犯人は炭水化物?5日前に作り常温で放置したパスタを食べた学生が死亡

2021.01.27 Wednesday

2019.02.01 Friday

Point
■不適切な保管方法にで食品中のセレウス菌が増殖すると、深刻な食中毒や時には死を引き起こす
■セレウス菌は食品中で危険な毒素を分泌し、これらの中には電子レンジの熱では死滅しないものも存在
■セレウス菌が分泌する毒素の一種「溶血素BL」は、細胞を猛攻撃して穴だらけにし、炎症や死に至らしめる

冷蔵庫の外に長く出しっぱなしにしていた肉や魚。これらは躊躇なく捨ててしまう人がほとんどだと思いますが、調理済みのパスタやお米だったらどうでしょうか?

炭水化物系の食べ物は、ちょっとくらい常温で放置しても大丈夫だと考えてしまいがちですが、その考えは甘そうです。雑誌「Nature Microbiology」に掲載された論文で、食品に含まれるセレウス菌が増殖することで、深刻な食中毒を引き起こし、時には死を招く場合もあることが示されました。

A multicomponent toxin from Bacillus cereus incites inflammation and shapes host outcome via the NLRP3 inflammasome
https://www.nature.com/articles/s41564-018-0318-0

栄養で繁殖!恐怖のセレウス菌

セレウス菌は、土、動物や昆虫の体内、埃、植物、食品など、あらゆる場所に生息しています。オーストラリア国立大学で生物工学を研究するアヌクリティ・マトゥール氏は、論文の中で、セレウス菌が米や乳製品、香辛料、乾燥食品、野菜などの食品に含まれる栄養を使って繁殖することを説明しています。

身体に良い働きをする一部の系統を除き、セレウス菌は、不適切な方法で食品を保管するなどして増殖の機会を与えられると、激しい食中毒を引き起こし、最悪の場合は死をもたらすことあります。

その例は枚挙に暇がありません。2005年、調理から4日経過したサラダスパゲティを食べた5人の子どもたちが、セレウス菌による食中毒に見舞われました。報告によると、金曜日に調理したサラダスパゲティを、土曜日にピクニックへ持ち出し、その残りを冷蔵庫に保管。月曜日の夜、子どもたちはそれを夕食として食べました。

その夜、子どもたちは嘔吐に苦しみ、病院へ運ばれました。悲しいことに、一番下の子どもはあっけなく亡くなってしまいました。もう1人は肝不全を起こしたものの一命を取りとめ、後の3人はより程度の軽い食中毒だったため点滴治療により回復しました。この報告は、それまで軽い食中毒症状を引き起こすに過ぎないと考えられていたセレウス菌の、真の恐ろしさを世間に知らしめるきっかけになりました。

また、2011年には、ベルギー在住の20歳の学生が、作り置きしておいたトマトソースのパスタを食べてなくなったケースが報告されています。1週間分の食事をまとめて作ることを習慣にしていた彼は、いつものように5日前に作ったパスタを温めて食べようとしたのですが、その日はたまたま冷蔵庫の外に長時間パスタを放置してしまいました。食後に、下痢、腹痛、激しい嘔吐に襲われた彼は、その夜に亡くなったとのこと。

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