怖がりすぎはNG。極めて稀な例
しかし、「もうパスタは一生食べるまい」と密かに誓ったそこのあなた。セレウス菌による食中毒が肝不全にまで発展することは、極めて稀なケースなので安心してください。セレウス菌に感染した患者のほとんどが、病院での治療を受けることなく、自然に回復します。
通常はそこまで悪さをしないセレウス菌が、時として死に繋がるほどの危険をもたらすのはなぜでしょうか？それは、セレウス菌は食品中で危険な毒素を分泌する習性を持ち、これらの中には、家庭の電子レンジの熱では死滅しない毒素が存在するからです。中には、121℃の熱で90分間加熱しても死なない毒素もあります。たとえば、セレウス菌が分泌する毒素の一種「溶血素BL」は、細胞を猛攻撃して穴だらけにし、炎症や死に至らしめます。
マトゥール氏らは、「溶血素BL」の効果を消し、セレウス菌が奏でる「死の行進曲」を鳴り止ませる2つの方法を唱えています。1つは毒素の活動をブロックする方法、もう1つは毒素が引き起こす炎症を軽減する方法ですが、こうした方法の研究は始まったばかりです。
私たちが日常的に実践できる対策は、食品を冷蔵庫に保管し、キッチン周りの衛生管理に気をつけること、そして、きちんと手を洗ってから適切な方法で調理をすることです。また、残り物を食べる時は、きちんと温め直すことも効果的。「溶血素BL」などの例外もあるとはいえ、ほとんどの細菌や毒素は熱で死滅します。
パスタやお米だからといって、「炭水化物ちょっとくらい常温で保管してもよいルール」を勝手に設けるのは、やめた方が賢明なようです。
reference: sciencealert / translated & text by まりえってぃ
