流行に逆らってるはずの人々が同じ格好に?その皮肉な理由とは

society 2019/03/16
Credit:pixabay.com
Point
■流行に逆らう「ヒップスター」は、結局ヒップスター同士で同じ格好になってしまう
■同じ格好になり、それがまた流行となる現象を「ヒップスターのパラドックス」と呼ぶ
■ヒップスターは将来的に自分たちが逆らうことになる流行を自らが作っている

流行っているものには意地でも食いつかない…。そんな人に心当たりはありますか?

アメリカでは、都会で流行の最先端をゆくデジタル世代の若者をhipstar(ヒップスター)と呼びます。そのヒップスターの男性が、科学技術雑誌であるMITテクノロジーレビューを訴えました。理由は「ヒップスターは結局同じ格好をする」という内容の記事に、自分の写真を無断で使用したというものでした。

SNS上にアップした男性の写真とMITの写真は瓜二つだったようで、両者とも、あご髭にビーニー帽を被り、同じフランネルのシャツを身につけています。

Credit:technologyreview/MIT記事に掲載された写真

しかし、2つの写真の男性はまったくの別人。MITテクノロジーレビュー編集者のギデオン・リッチフィールド氏によると、写真は現在流行している最先端の格好に近いものをストックの中から使っていただけなのです。

まさに「ヒップスターは同じ格好になる」というMITの術中にハマった事件となりました。しかし、なぜ同じになってしまうのでしょうか。

「ヒップスターのパラドックス」とは?

この騒動によって、ブランダイス大学の数学者であるジョナサン・トゥブール氏が2014年に発表した「ヒップスターのパラドックス」についての論文が再び取り上げられました。

論文の詳細は、今年の2月21日付けで「arXiv」上に再発表されています。

The hipster effect: When anticonformists all look the same
https://arxiv.org/abs/1410.8001

トゥブール氏が唱えた「ヒップスターのパラドックス」とは、主流となる文化と反対を行くはずのヒップスターが、彼らの間で同じ格好になってしまうという、まさに今回の事件と同じものでした。

同氏は、この理由を解明するために、流行の現れをモデル化して、2つの異なるグループに分けました。1つは、大多数の流行に従った格好をする「メインストリーム派」で、もう1つは、大多数の反対を行く「ヒップスター派」です。

以下の画像がそのモデルとなります。

Credit:technologyreview

上記画像の一番左下のモデルを見てください。バーコードの上半分が「メインストリーム」、下半分が「ヒップスター」の流行の動きです。この2つの流行の動き(黒と白のライン)が見事に交互になっています。

パラドックスが起こる仕組み

流行が現れて、社会に浸透するまでには、ある程度の時間がかかります。斬新でファッショナブルな商品が登場しても、すぐに普及することはありません。

その代わり、まずはそれに関する情報がインフルエンサーによって広められます。次に、テレビやSNS、口コミなどで一般の人にも伝わり、そこで流行の大きな変化が生じるのです。この流れに追随するのが、メインストリームの大きな動きとなります。

反対に、ヒップスターはメインストリームによる流行の支流ができると、その流れを拒絶し逆向きの格好をし始めます。例えば、世の中でヒゲを伸ばす文化が流行すると、ヒップスターたちはヒゲを剃り始めるのです。これは、逆もまたしかりでしょう。

Credit:pixabay.com

すると今度は主流に逆行するヒップスターたちの間で流れが同調し始めるのです。ドゥブール氏は「メインストリームと反対を行けば、それもある意味で、影のメインストリームとなってしまう」と説明します。

そして、ヒップスター同士の同調が大きくなると、それがメインストリームに伝わり、またひとつの流行となります。つまり、流行を作るのも流行から逃げるのもヒップスターだというわけです。

自分たちが将来的に逃げることになるものをこれから作るなんてなんとも皮肉な話ですね…

違和感ゼロ。歴史上の人物にイマドキなオシャレをさせたらこうなった

reference: livesciencetechnologyreview / written & text by くらのすけ

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