ゲノム編集による「完全合成生物」が誕生!  なぜか海外ケモナーが歓喜

biology 2019/05/16
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Point

■これまでで最大規模のゲノムを編集して、細菌を合成することにケンブリッジ大学の研究チームが成功した

■この人工細菌は大腸菌を元にしており遺伝暗号は400万の塩基対を持ち、これはA4用紙に印刷した場合は970ページ分にも及ぶ規模がある

■人工細菌は、編集されたDNA情報を保持した状態できちんと成長・増殖することも確認されている

猫の女の子が誕生する偉大な第一歩…?

ケンブリッジ大学がかなり大規模なゲノム編集を行った人工細菌の増殖に成功した。

合成ゲノムの生物誕生については、実は2010年に米国の研究者たちが成功している。しかし、それは非常に小さい細菌(塩基対が約100万)で、根本的な遺伝情報の再設計は行われていない。

今回の報告では、ゲノムのサイズが以前の研究の4倍あり編集された箇所も非常に多い。この規模でゲノム編集を成功させた例は世界初となり、世界中の人工生命の研究者たちから驚きと賞賛の声が届いている。

この研究については、5月15日付けでnature誌に掲載された。

Total synthesis of Escherichia coli with a recoded genome
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1192-5

編集編集って言うけど、具体的に何をしているの?

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全ての生命が持つDNAは4種類の塩基の配列で構成されている。

こう言われるとあまりピンと来ないが、要はDNAは4つのアルファベットだけが使われた暗号文のテキストデータになっているということだ。

実際そのアルファベットに当たるのはアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、そしてシトシン(C)と呼ばれる分子だ。基本的に遺伝情報はこのアルファベットの内3文字が組み合わされて1つの単語を構成している。TCTとかTCGとか、そんな感じだ。これをコドンという。

コドンは全部で64種あるのだが、このコドンが意味しているアミノ酸の種類は20種しかない。単語が64個あるのに対して、それが指している道具は20個という状態だ。つまりほとんどのコドンは意味が重複してしまっているのだ。

これは「机」を「デスク」や「テーブル」と何種類かの言葉で呼び分けているのに近いものと考えられる。

確かに我々にとっては、多少の言い換えでニュアンスが異なる場合もあるが、遺伝子がそんな文学的センスを持っているとは考えにくい。

そこで今回の研究では、3種類の意味が重複したコドンを検索し、同義語の別のコドンに置換するという編集を行った。さながらテキストファイルを編集するような作業だ。

これにより、本来なら64種のコドンで構成される細胞を、61種のコドンだけで作り直したのだ。

新生命の誕生

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今回の研究は実に18,214個のコドンを編集し再コード化した。そして実際、この編集を行った細胞(大腸菌)は特に生命としての機能を損なうことなく、きちんと編集された遺伝情報を持って成長し増殖した

もともとDNAに64種ものコドンは必要ないという説があり、同義語は置き換えても正常に機能するのではないかと言われていた。今回の研究はそれを実証した形となる。

DNAコードが根本的に大きく変更された完全合成微生物は、世界初になる。

これはかなりすごいことだ。

細胞のDNAが異なると、ウィルスは拡散することが困難になる。そのためこうした細胞のデザインは事実上のウィルスへの抵抗性に繋がる

「これほど多くの変更を加えた細胞が、変更後にきちんと成長しているというのは驚くべきことだ。彼らは合成ゲノミクスの分野を新たなレベルに引き上げた」と、インペリアル・カレッジ・ロンドン合成生物学研究所のトム・エリス氏はコメントを述べている。

 

この研究報告には、海外の科学系掲示板で「猫の女の子を作る偉大な一歩だ!」と、早くも特殊な性癖を持つ人たちが盛り上がっているようだ。

確かにそんなことも近い将来、夢じゃなくなるかもしれない。

ロボット「生きてますが何か?」 ついに自発的に代謝・生成するロボットが開発される

reference:theguardian,NYTimes/written by KAIN

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