海の底にオアシスが!? 巨大な淡水域を発見

geoscience 2019/06/29
Credit:pixabay

Point

■アメリカ大西洋岸の海底に淡水を含んだ巨大な「帯水層」が発見された

■そこから漏れ出る淡水により、大西洋岸域の海水は塩分濃度が沖に比べて低いことが判明している

■「帯水層」は氷河時代の氷が溶けて大陸棚に流れ込み、地中に吸収されたことで形成されたと考えられる

1970年代、世界で初めて「帯水層(淡水を含む地層)」が発見された。海水の下に淡水が隠されているという事実が世界中に広まったのだ。

それ以来、帯水層は世界各地の海で発見されたが、その大きさや、そこから漏れ出る淡水がどれほどの範囲に及んでいるかについては詳しく調査されていなかった。

しかし今回、コロンビア大学とウッズホール海洋研究所の共同研究により、アメリカ大西洋岸に眠る帯水層の詳細な領域を特定することに成功したという。

しかもそのサイズはこれまで見つかっている帯水層の中で最も巨大であるとのことだ。

研究の詳細は、6月18日付けで「Scientific Reports」上に掲載されている。

Aquifer systems extending far offshore on the U.S. Atlantic margin
https://www.nature.com/articles/s41598-019-44611-7#author-information

淡水域はおよそ80kmに及ぶ

帯水層とは地下水によって飽和している地層のことで、そこから海中に淡水が漏れ出していると考えられている。

研究チームは、アメリカ大西洋岸に存在すると考えられる帯水層の範囲を調べるため、10日間に渡って電磁気センサーを使った海水調査を行なった。

この方法は海水の方が淡水よりも電磁波をよく通す仕組みが利用されている。伝導率の違いによって、海水域と淡水域の境界が区別できるというわけだ。

アメリカ大西洋岸のマップ/Credit:qz.com

その結果、淡水域はニュージャージーからマサチューセッツ沖にかけておよそ50マイル(約80km)に渡り広がっていることが分かった。さらに帯水層は海底下およそ600フィート(約183m)から始まり、1200フィート(約365m)まで続いていた。

そこには大量の淡水が含まれていることも判明しており、その量はオンタリオ湖(四国と同じくらいの面積)の2倍の量に匹敵するという。

帯水層から漏れ出した淡水によって海中の塩分濃度が著しく低下していたようだ。上の図の黄色い範囲が低塩分領域である。

帯水層は氷河期の終わりに作られた

研究主任のクロエ・グスタファソン氏によると、帯水層が作られた原因は氷河期にあるという。

海水というのは凍るときに塩分を外に押し出して、ほとんど真水の状態に戻る。こうして巨大なアイスシートが大陸を覆って行くにつれて、海水領域は狭くなり、海面も徐々に低くなっていった。

しかし氷河期が終わりを迎えると、凍っていたアイスが溶け出して水になり、大陸棚に流れ込んで大きな三角州を形作る。その際に、陸が淡水を吸収することで帯水層が出来上がったのだ。

それと同時に海面が上昇して帯水層を海水の下に閉じ込めることになる。こうして「海水の下の淡水」という構造が出来上がるわけだ。

降雨が吸収されて海中に漏れ出る(黄色部分)/Credit:qz.com

さらにグスタファソン氏は帯水層の水分量について、「降雨などの水が陸に吸収されることによって帯水層に流入し、水が補充されているのではないか」と推測する。そして淡水の補充された帯水層は波の圧力によって圧迫され、海中に漏れ出る。

これは例えるなら、水を含んだスポンジを押すことで中の水が漏れ出るのと同じ原理である。こうして海水と淡水が混ざり、アメリカ大西洋岸は塩分濃度の低い海水が流れていたのだ。

 

まさに海の中のオアシスとも取れるが、塩分濃度の低いこの場所は、魚たちにとってはオアシスではないかもしれない。

reference: qz.comphys.org / written by くらのすけ

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